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倉敷が舞台の青春百景。『めくりめくる』1巻

 ドラマティックな恋愛劇があるわけでもない。
 激しい感情が動く人間関係があるわけでもない。
 大きな事件が起こるわけでもない。
 ここに描かれるのは、高校生たちの何でもない日常であり、どこにでもありそうな青春の一場面。

 でも、それがたまらなく眩しいんです。
 キャラクターたちの表情が、行動のひとつひとつが、実に生き生きとしていて、気負うことなく青春を謳歌している。
 一生のうち、この時期だけの少年少女の屈託の無い輝きを、見事に切り取っています。

 そして、この作品の舞台は倉敷。
 風光明媚で落ち着いたこの街に、自然に溶け込んでいる飾り気の無い青春の輝きは、なんだかとても心地良くて、青春の時期などとうに過ぎた者としては、強い憧憬の念を抱かずにはおれません。
 いいなあ。ほんとうにコレはいいなぁ……。

めくりめくる 1 (GUM COMICS Plus)めくりめくる 1 (GUM COMICS Plus)
(2010/10/25)


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イラッとくる程おもしろい『カッコカワイイ宣言』1巻

『女に惚れさす名言集』の地獄のミサワ氏、初のコミックス。
 いやもう、知っている人には説明不要、知らない人にはまあ一回見てみれば分かる、という感じの地獄のミサワ氏。

 その風貌含め、絶妙にイラッとくるキャラたちが次々と繰り出すうざいネタの数々。

「うぜぇ……でも笑っちゃう……!」

 的なクセになる笑い。

 誰にも真似できないこの芸風、は間違いなく一種の天才。
 言葉で説明するのは無粋……というか私の力ではこの作品の独特の空気を文章化できないので、表紙のかおちゃんにイラっとした人は、とりあえずみんな読むと良いと思います。

 そして地獄のミサワ氏のインタビューも相当スゴイので是非読むと良いと思います。

カッコカワイイ宣言! 1 (ジャンプコミックス)カッコカワイイ宣言! 1 (ジャンプコミックス)
(2010/10/04)
地獄のミサワ

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声に出すことで引き出される物語の力。『花もて語れ』1巻

 『空色動画』でアニメーションづくりの楽しさ、感動、ワクワクを思いっきり描いた片山ユキヲ氏。

 その片山氏の新作が題材に採るのは「朗読」。
 朗読が漫画になるのか? そんな疑問は読み始めた途端にどこかに行ってしまいました。

 主人公・佐倉ハナが出会った朗読の魅力。声が小さくて人前で話したりすることの苦手な彼女が、その「イメージ」の力・声の力で物語の魅力をぐいぐいと引っ張り出していくのです。

 声を出して本を読む。それだけのことがここまで烈しく、熱く、やさしく、人の心を揺さぶる物語として描いてしまうとは!
 読み手のイメージ、そして声によって物語から引き出された「力」が聴く者を強く揺さぶる様子は圧倒的ですらあり、また同時にとても心地良いものでもあります。

 この1巻で扱われる物語は、国語の教科書で強い印象を受けた人も多いであろう宮沢賢治の『やまなし』。「クラムボンはかぷかぷ笑ったよ」で有名なあれ。 この作品を声に出して読むというのはどういうことなのか、そしてそれがどんな物語を生み出すか、それは読んでのお楽しみ。

 片山氏が描く作品は「感動」を伝える力がとにかく物凄い。そんなことを再確認させられました。
『空色動画』を読んだことのある人はもちろん、未読の方も是非この力強くそして優しい作品を読んでいただきたい。

花もて語れ 1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)花もて語れ 1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
(2010/09/30)
片山 ユキオ

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水槽から始まる三角関係青春ストーリー『アクアリウム』1巻

 ちょっと男子連中から人気があるけれど、そういうことには戸惑があるゆうは実家がアクアリウムの女の子。
 女の子たちと打ち解けられずに、幼なじみの男子二人とだけ仲が良い女の子・さおり。
 さおりの幼なじみであるよしあきが、ゆうの店を訪れたことから、アクアリウムを接点にして動き出す人間関係。

 水槽に興味を持ったさおりと仲良くしたいと思うゆう。
 ゆうと仲良くしたいと思いながら素直になれないさおり。
 そんなさおりとバカをやりながら、ゆうをいじって遊ぶよしあき。
 そして次第によしあきが気になってくるゆうと、二人の関係を気にするさおり。

 ピュアな恋の始まり……の、その始まりといった感じの繊細でちょっとやるせない三角関係。
 ゆうとその親友二人のグループと、さおりとよしあきたちのグループのエピソードを交差させる形でこの小さな恋と変わり始める人間関係を描く青春ストーリー。

 不器用ながら一生懸命な働きかけで人間関係を動かしていくゆう。
 戸惑いながらも心の垣根を取り払っていくさおり。
 そんな二人の間で無自覚に波紋を投げかけるよしあき。
 気を遣うゆうと素直じゃないさおり、繊細な二人に対して、異性を全く意識していない闊達なよしあきの言動がまた対象的で。
 この三人の間で絡まっていく想い・人間関係が実に丁寧に描かれます。
 相手の気持ちと自分の気持ちの距離感、人と仲良くなることの不安と喜び、そこを描くエピソードの積み重ねと筆の繊細さが実に素敵。

 そして、そんな繊細な事情の最中にいるゆうを見守り弄る友人かよ・ちほもまた実にいい味を出しているんです。

 アクアリウムについては物語の触媒、といった感じで、二つの異なるグループのキャラたちが交差するきっかけとなるアイテムであるのと同時に、透明感と青春のきらめき、切なさ、そんな作品全体に漂う空気を象徴しています。
 

 二つのグループの話が入れ替わりで語られるので、連載で読んでいた際には、なかなか話の流れが掴みづらくはあったのですが、単行本の形にまとまってみると、これは実に丁寧かつ繊細にキャラとその心の動きが描かれた作品であることだなあ、と感嘆しきり。
 キャラ立たせ方とか描写も巧みで実に可愛らしい。巻頭描き下ろしの、たい焼きを頭から頬張るかよを見て、きゅっと目をつぶるゆう、のシーン(でもその後ゆうもたい焼きを頬張る)とか、もう、可愛くって、性格をよく表していて大好きで大好きで大好き。

 ともあれ。
 ほろ苦く、かすかに甘酸っぱい、この胸がキュッと締め付けられる切なくなる感じは本物。
 連載読者はもちろん、未読の方や『きらら』系はあまり、という方には是非ともお勧めしたい一冊。是非に。

アクアリウム (1) (まんがタイムKRコミックス)アクアリウム (1) (まんがタイムKRコミックス)
(2010/09/27)
博(ひろ)

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少女とネコマタのほっこり日常『のりタマ』1巻

 築百年にもなるというボロアパートの猫待荘。そこで一緒に暮らすことになった勤労貧乏少女・のりえと、ネコマタのタマ。
 大家のヤコさんらを交えたほのぼのとした日常を、喜怒哀楽たっぷりに描きます。

 というわけで、ひょっとしたら「オタクビーム」名義の方が通りが良いかも知れないオオツカマヒロ氏の初商業コミックス。

 いたずら好きでトラブルメーカーのタマと、前向きで面倒見の良いのりえのコンビ、この二人のやりとりが実にかわいい。
 日常のちょっとしたイベントを二人で共有してエンジョイして、何でもない日常が切り取られて、すごくきらきらしたものに思えるから素敵。
 読んでいて思わずニッコリ、頬が緩んじゃうこのほっこり感がたまりません。

 そんなのりえとタマの微笑ましい日常も良いですが、「猫待荘」という舞台をめぐる物語がちょっとずつ見えてくる辺りも、じんわりと読ませる構成で巧みであります。

 派手ではないけれど、滋味のある、あったかなエピソード。それを紡ぐしっかりと「活きた」キャラたち。
 いいなあ。これはすごくいい作品ですよ。

のりタマ 1 (電撃コミックス)のりタマ 1 (電撃コミックス)
(2010/09/27)
オオツカ マヒロ

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一家の「幸せ」は「最悪」の扉でした――『サユリ』1巻

 押切蓮介氏の新作はじっとりと真綿で首を締め上げてくるような黒々とした厭さに満ちたホラー。

 念願の一軒家を手に入れた家族。祖父母との同居も始まり、一つ屋根の下、3世帯7人の幸せな生活が始まるはずだったのだが――。

 父親の突然死をきっかけとして、そこから連鎖する凶事。事態はわけの分からぬまま、じわじわと、しかし確実に進行していきます。

 この1巻で描かれるのはその状況に翻弄され続ける一家の姿。小さな幸せが満ちていたはずの一家がどんどん息苦しさを増して壊れていきます。
 家を手に入れた時の家族の幸せの描き方が本当に素朴でうれしそうなだけに、それがどんどん壊れていくのが恐ろしく、辛い。

 この事態の原因は何なのか、どう対処すれば良いのかすら見えないまま、とにかく続く厭な出来事。
 そこには「物凄く厭」な存在の影がちらつきますが、それが何なのか、そもそも何が起こっているのかも判然としないまま、凶事は最悪の事態へ。

 とにかく凶事の原因がはっきりしないまま恐怖と厭わしさが蓄積し続ける大1巻。
 2巻目で物語は完結とのことなので、この「溜め」がどんな最悪の形で吹き出してくるのか、非常に楽しみです。

サユリ 1 (バーズコミックス)サユリ 1 (バーズコミックス)
(2010/09/24)
押切 蓮介

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小学生の文具店細腕繁盛記『夕焼けロケットペンシル』1巻

 働かない父親に代わり、実家の文房具店を切り盛りすることになった小学生のサトミ。
 お店に閑古鳥は鳴いているし、ノウハウも無いけれど、一生懸命に頑張るのでした。お母さんとの思い出の「ロケットペンシル」を首から下げて。

 お店の経営のあれやこれやは大変ではありますが、母親が帰ってくることを信じて、家族の思い出の店を存続させようという純粋で強い意思と、それを行動に表すサトミの芯の強さ・健気さには心をギュッと掴まれます。
 そんな彼女を頼ってやってくるお客さんが増え、その人達との交流がサトミを支えて、暖かな人の輪が広がって、と彼女の頑張りが目に見える形で報われていくのが素敵。

 にしても、娘がこんなに頑張っているのにひたすら遊び呆けているお父さんがヒドい。
 ひとでなし、というのではなくてもう完全にオタクなニートで、過去にあった何かが彼をこうしてしまっているのではありますが――その辺り、お父さん・お母さんの過去の話が気になるところ。

 そしてお客さんである漫画家のお兄さんに対するサトミのまさに「初恋」というべき淡い恋愛感情。
 細かいエピソードを積み重ねた上でそれが芽生える様を丁寧に描き、大変に切ない感じでグッと来ますが、何せ歳の差が大きいので、このサトミの想いがどうなってしまうのかも実に気になります。

 サトミの頑張りで少しずつ息を吹き返し始めた文房具店。そこに集う人々のドラマとともに注目です。

夕焼けロケットペンシル 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)夕焼けロケットペンシル 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
(2010/09/22)
あさの ゆきこ

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Hな本屋の店員さんは小学生。『私のおウチはHON屋さん』1巻

小学5年生の中沢みゆの実家は本屋さん。
みゆちゃんは毎日おうちのお手伝いをしておりまりますが、ひとつ問題が。
彼女の実家はHな本の専門店だったのです……!

 と、設定からして合理的に小学生女子に思い切りセクハラシチュエーションをぶつけられる素敵な作品。

 「こんなHな本……恥ずかしい」と赤面しながら接客するみゆちゃんの姿は実に微笑ましい。
 そんなんでありながら、商品にきちんと詳しいのが感心するやら可笑しいやら。仕事熱心であることだなあ。

 そんなセクハラシチュ満載であるにもかかわらず、彼女のお店や仕事は、家族の絆の象徴だったり、お客さんとの温かい交流の場だったりで、全体的にすごい「いい話」成分が高い作品でもあります。
 セクハラと人情話の絶妙のさじ加減、奇跡の融合というべきでしょうか。なかなかこのバランス感覚はすごいと思うのです。

 これ以上ないくらいに看板娘として機能しているみゆちゃん。お客さんと一緒にそのお仕事っぷりを見守って、いちいちそのリアクションに癒されたいな、と。

私のおウチはHON屋さん(1) (ガンガンコミックスJOKER)私のおウチはHON屋さん(1) (ガンガンコミックスJOKER)
(2010/09/22)
横山 知生

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棘叢庵主人凡鳥でございます。
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