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閉館まで残り一年の宮殿、そこにあるのは青春の喧噪。『玲瓏館健在なりや』1巻

 現在は学生寮として使用されている西洋館「玲瓏館」。
 およそその用途に似ない、まるで宮殿のような豪奢なこの建物に住むことが決まった青年・白居玄太は、しかし引っ越してきたその日に、玲瓏館が1年後に取り壊されることを告げられるのであった……。

 寮らしからぬその館に住むのは、男女合わせて12人の寮生たち。
 新しく入居した玄太をエピソードの中心にして綴られるのはコミカルで喧噪に満ちた日々。
 誰も彼も一癖ある強い個性を持つ寮生達は、出逢いのほんのわずかな場面だけでもその個性を印象づけられますが、その後のエピソードでどんどんキャラが掘り下げられていって、彼等が生活空間を共にしている様が活写されます。人間関係の面白さ、常に何か小さな事件があり退屈する間もありません。

 寮というにはあまりにも変わった環境と事情をを持った玲瓏館ですが、そこにあるのはその豪奢さには縁遠い、実に若者らしい喧噪に満ちた生活であり、同世代の若者たちが集まることでしか生まれ得ない濃密な時間。
 寮らしくない佇まいではありますが、しかしやっぱり若者達の生活の場としてそこに在り続ける玲瓏館。
 
 同じ年代の若者が集う空間。何代にも亘ってそれを続けて来た時の積み重ねには、そこに暮らした者にだけ分かる空気があります。「寮」としての場が特殊なものであるならばそれは尚更のもの。

 玲瓏館で過ごす日々が濃くなる程に減っていく残り時間。そこに関係する者達は、表に出すにしろ出さないにしろ、それぞれの感慨をこの館に対して抱いているはず。しかし、今は、その時まではただ青春の喧噪の中で――。

 青春の「場」としての寮と、そこに集う若者達を描く群像劇。楽しいときはやがて過ぎゆき、その刻限を迎えるまでに若者達はどのように感じ、動いていくのか。舞台の面白さ、キャラクターのユニークさでとにかくぐいぐいと引っ張られます。


玲瓏館健在なりや 1巻 (ビームコミックス)玲瓏館健在なりや 1巻 (ビームコミックス)
(2010/07/15)
冨明仁

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棘叢庵主人凡鳥でございます。
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