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異世界の隣人はいい人? 悪い人? 『セカイのミカタ』1巻

 異界との扉が至る所で開く町・万住町。
異世界人とのトラブルに対処する異界管理局、通称「イカイカ」。
 「異界に消えた兄を探す」という目的でそこに勤務し始めた新人職員・カイチと、彼と組むことになった、異界人にしてイカイカ副長のウブメ。
 青い新人と苦い過去を持ったベテランのコンビ奮闘記。

 二人が当たるのは、価値観や命の形が異なる世界が繋がってしまうことで生まれた行き違いから発展してしまった事件。

「この世に正義なんかどこにもない」「扉の数だけ正義は存在する」「僕らは正義の味方なんかじゃない 世界の味方なんだ」

 というウブメの言葉が、イカイカの在り方を良く示しています。相手を理解することが絶対の仕事なのですね。時にそれが全く異質な、相容れない存在だという結果になったとしても――。
 そんな中で見せるカイチ君の愚直さと成長が眩しく、ウブメの苦みを伴った言動は時にずしりと来ます。

 小さな(でも印象的な)事件の解決を積み重ねていく中で、カイチの兄・キイチの存在、ウブメが過去に失ったもの、といったそれぞれが抱えるトラウマと大切なもの、謎の女や「ワラビ」の存在といった謎、それらが徐々に繋がりながら物語世界が徐々に厚みを増して行く様は読み応えあり。

 互いに反目しながらも息のあったコンビニなりつつあるカイチとウブメ。彼らの小気味いい掛け合いを味わいながら、絡み合った伏線がどうなっていくのかが非常に楽しみであります。

セカイのミカタ 1巻 (ヤングキングコミックス)セカイのミカタ 1巻 (ヤングキングコミックス)
(2010/10/30)
鈴木 小波

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鳥が運ぶ女の子たちのハート。『でんしょ!』

 我々の世界に似ているけれど、ケータイが無くて「でんしょ」という鳩で人の言葉を伝え合う世界。
 そのでんしょたちを司る鳥神さまと、一人の女の子の出会いから始まるトラブルとときめきいっぱいの物語。

 ネコが天敵のでんしょと鳥神さま。
 ネコが好きで好きで仕方のないヒロインの聖鳩(みはと)。
 何だか合わなそうなこの二人が、インフラトラブルを発端として一緒に暮らすことに。

 へかとんさんの描く女の女の子は、とにかくキュート。そのキュートでピュアな娘さんたちが、女の子同士のきゅんきゅんきちゃう恋心を持て余しながらぺったりくっつき合っている描写は激甘に可愛らしい。ぱんつとかお風呂とかよく出てきてもなんかもうとにかく可愛い。みんなちょっと

 人々の心を鳥が媒する、というちょっとファンタジーでリリックな設定と、百合ん百合んな女の子同士の関係のハーモニーが何だかおかしくてかわいくて、思わず頬が緩んじゃう、そんなおはなし。

 鳥神さまのひみつ、とかそういうのが今後語られたりするのかしら。
 甘々な女の子同士の恋にはふぅとうっとりするだけでもよいですが、鳥が想いの伝達手段、という物語映えするこの設定、次巻以降にどう使っていくのかも楽しみ。

でんしょ! 1 (電撃コミックス)でんしょ! 1 (電撃コミックス)
(2010/10/27)
へかとん

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人を想うの気持ち、そのかけがえのなさ。『sunny』

 兄夫婦の忘れ形見となった姪と、彼女の高校卒業までの3ヶ月間を同居することになった主人公。
 それまで家に出入していた姪の友人二人も一緒に住むことになり、女子高生3人と大人一人の同居生活の、始まり。

 と、設定だけを書くと何だか嬉し恥ずかしハーレム物のような印象もありますが、さにあらず。

 義姉に想いを寄せていた主人公のハル。
 母親の主人公に対する気持ちを知っていた姪・あきら。
 彼女持ちの男を好きになってしまった友人・絹子。
 憧れの兄の面影を主人公に重ねて見る友人・郁。
 そして残されたあきらの母・ハルの義姉の日記。

 失われてしまった家族が住んでいた家で、その絆を追うように語られていく4人それぞれの思い。

 ちょっと複雑な関係に気持ちが描かれますが、そこにドロドロとした感じは殆どありません。
 人が人を想う気持ちというのは何なのか。結果だけではない、気持ちそのものの大切さが紡がれていきます。

 「好き」の気持ちが持つ優しさ、そんなものを強く感じる作品でありました。

sunny (ヤングキングコミックス)sunny (ヤングキングコミックス)
(2010/10/25)
今村 陽子

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ああ可愛い。ああ家族愛。『うのはな3姉妹』1巻

 商店街の人気者な豆腐屋の美人3姉妹と、職人気質で頑固なお父さんの家族&ご町内4コマ。

 しっかり者でおっとり美人な長女、快活だけどぐうたらな次女、ちょっと天然でみんなに愛される三女。
 3姉妹フォーマットとでも言うべき形で、しっかりキャラの立った3人が本当に素敵で可愛らしいのです。 

 性格の違いによって形は違えど、3姉妹のお父さんへの敬意や好きという気持ちが至る所に出てきているし、お父さんの方も頑固な中に娘たちへの愛がある。

 読んでる間、にやにやしたり、和んだりすること夥しい。
 読んだら幸せ、そんな漫画です。

うのはな3姉妹 1 (まんがタイムコミックス)うのはな3姉妹 1 (まんがタイムコミックス)
(2010/10/12)
水谷 フーカ

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倉敷が舞台の青春百景。『めくりめくる』1巻

 ドラマティックな恋愛劇があるわけでもない。
 激しい感情が動く人間関係があるわけでもない。
 大きな事件が起こるわけでもない。
 ここに描かれるのは、高校生たちの何でもない日常であり、どこにでもありそうな青春の一場面。

 でも、それがたまらなく眩しいんです。
 キャラクターたちの表情が、行動のひとつひとつが、実に生き生きとしていて、気負うことなく青春を謳歌している。
 一生のうち、この時期だけの少年少女の屈託の無い輝きを、見事に切り取っています。

 そして、この作品の舞台は倉敷。
 風光明媚で落ち着いたこの街に、自然に溶け込んでいる飾り気の無い青春の輝きは、なんだかとても心地良くて、青春の時期などとうに過ぎた者としては、強い憧憬の念を抱かずにはおれません。
 いいなあ。ほんとうにコレはいいなぁ……。

めくりめくる 1 (GUM COMICS Plus)めくりめくる 1 (GUM COMICS Plus)
(2010/10/25)


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イラッとくる程おもしろい『カッコカワイイ宣言』1巻

『女に惚れさす名言集』の地獄のミサワ氏、初のコミックス。
 いやもう、知っている人には説明不要、知らない人にはまあ一回見てみれば分かる、という感じの地獄のミサワ氏。

 その風貌含め、絶妙にイラッとくるキャラたちが次々と繰り出すうざいネタの数々。

「うぜぇ……でも笑っちゃう……!」

 的なクセになる笑い。

 誰にも真似できないこの芸風、は間違いなく一種の天才。
 言葉で説明するのは無粋……というか私の力ではこの作品の独特の空気を文章化できないので、表紙のかおちゃんにイラっとした人は、とりあえずみんな読むと良いと思います。

 そして地獄のミサワ氏のインタビューも相当スゴイので是非読むと良いと思います。

カッコカワイイ宣言! 1 (ジャンプコミックス)カッコカワイイ宣言! 1 (ジャンプコミックス)
(2010/10/04)
地獄のミサワ

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声に出すことで引き出される物語の力。『花もて語れ』1巻

 『空色動画』でアニメーションづくりの楽しさ、感動、ワクワクを思いっきり描いた片山ユキヲ氏。

 その片山氏の新作が題材に採るのは「朗読」。
 朗読が漫画になるのか? そんな疑問は読み始めた途端にどこかに行ってしまいました。

 主人公・佐倉ハナが出会った朗読の魅力。声が小さくて人前で話したりすることの苦手な彼女が、その「イメージ」の力・声の力で物語の魅力をぐいぐいと引っ張り出していくのです。

 声を出して本を読む。それだけのことがここまで烈しく、熱く、やさしく、人の心を揺さぶる物語として描いてしまうとは!
 読み手のイメージ、そして声によって物語から引き出された「力」が聴く者を強く揺さぶる様子は圧倒的ですらあり、また同時にとても心地良いものでもあります。

 この1巻で扱われる物語は、国語の教科書で強い印象を受けた人も多いであろう宮沢賢治の『やまなし』。「クラムボンはかぷかぷ笑ったよ」で有名なあれ。 この作品を声に出して読むというのはどういうことなのか、そしてそれがどんな物語を生み出すか、それは読んでのお楽しみ。

 片山氏が描く作品は「感動」を伝える力がとにかく物凄い。そんなことを再確認させられました。
『空色動画』を読んだことのある人はもちろん、未読の方も是非この力強くそして優しい作品を読んでいただきたい。

花もて語れ 1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)花もて語れ 1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
(2010/09/30)
片山 ユキオ

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Author:棘叢庵主人
棘叢庵主人凡鳥でございます。
日々読んだ漫画の感想などを綴っていきます。

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