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水槽から始まる三角関係青春ストーリー『アクアリウム』1巻

 ちょっと男子連中から人気があるけれど、そういうことには戸惑があるゆうは実家がアクアリウムの女の子。
 女の子たちと打ち解けられずに、幼なじみの男子二人とだけ仲が良い女の子・さおり。
 さおりの幼なじみであるよしあきが、ゆうの店を訪れたことから、アクアリウムを接点にして動き出す人間関係。

 水槽に興味を持ったさおりと仲良くしたいと思うゆう。
 ゆうと仲良くしたいと思いながら素直になれないさおり。
 そんなさおりとバカをやりながら、ゆうをいじって遊ぶよしあき。
 そして次第によしあきが気になってくるゆうと、二人の関係を気にするさおり。

 ピュアな恋の始まり……の、その始まりといった感じの繊細でちょっとやるせない三角関係。
 ゆうとその親友二人のグループと、さおりとよしあきたちのグループのエピソードを交差させる形でこの小さな恋と変わり始める人間関係を描く青春ストーリー。

 不器用ながら一生懸命な働きかけで人間関係を動かしていくゆう。
 戸惑いながらも心の垣根を取り払っていくさおり。
 そんな二人の間で無自覚に波紋を投げかけるよしあき。
 気を遣うゆうと素直じゃないさおり、繊細な二人に対して、異性を全く意識していない闊達なよしあきの言動がまた対象的で。
 この三人の間で絡まっていく想い・人間関係が実に丁寧に描かれます。
 相手の気持ちと自分の気持ちの距離感、人と仲良くなることの不安と喜び、そこを描くエピソードの積み重ねと筆の繊細さが実に素敵。

 そして、そんな繊細な事情の最中にいるゆうを見守り弄る友人かよ・ちほもまた実にいい味を出しているんです。

 アクアリウムについては物語の触媒、といった感じで、二つの異なるグループのキャラたちが交差するきっかけとなるアイテムであるのと同時に、透明感と青春のきらめき、切なさ、そんな作品全体に漂う空気を象徴しています。
 

 二つのグループの話が入れ替わりで語られるので、連載で読んでいた際には、なかなか話の流れが掴みづらくはあったのですが、単行本の形にまとまってみると、これは実に丁寧かつ繊細にキャラとその心の動きが描かれた作品であることだなあ、と感嘆しきり。
 キャラ立たせ方とか描写も巧みで実に可愛らしい。巻頭描き下ろしの、たい焼きを頭から頬張るかよを見て、きゅっと目をつぶるゆう、のシーン(でもその後ゆうもたい焼きを頬張る)とか、もう、可愛くって、性格をよく表していて大好きで大好きで大好き。

 ともあれ。
 ほろ苦く、かすかに甘酸っぱい、この胸がキュッと締め付けられる切なくなる感じは本物。
 連載読者はもちろん、未読の方や『きらら』系はあまり、という方には是非ともお勧めしたい一冊。是非に。

アクアリウム (1) (まんがタイムKRコミックス)アクアリウム (1) (まんがタイムKRコミックス)
(2010/09/27)
博(ひろ)

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少女とネコマタのほっこり日常『のりタマ』1巻

 築百年にもなるというボロアパートの猫待荘。そこで一緒に暮らすことになった勤労貧乏少女・のりえと、ネコマタのタマ。
 大家のヤコさんらを交えたほのぼのとした日常を、喜怒哀楽たっぷりに描きます。

 というわけで、ひょっとしたら「オタクビーム」名義の方が通りが良いかも知れないオオツカマヒロ氏の初商業コミックス。

 いたずら好きでトラブルメーカーのタマと、前向きで面倒見の良いのりえのコンビ、この二人のやりとりが実にかわいい。
 日常のちょっとしたイベントを二人で共有してエンジョイして、何でもない日常が切り取られて、すごくきらきらしたものに思えるから素敵。
 読んでいて思わずニッコリ、頬が緩んじゃうこのほっこり感がたまりません。

 そんなのりえとタマの微笑ましい日常も良いですが、「猫待荘」という舞台をめぐる物語がちょっとずつ見えてくる辺りも、じんわりと読ませる構成で巧みであります。

 派手ではないけれど、滋味のある、あったかなエピソード。それを紡ぐしっかりと「活きた」キャラたち。
 いいなあ。これはすごくいい作品ですよ。

のりタマ 1 (電撃コミックス)のりタマ 1 (電撃コミックス)
(2010/09/27)
オオツカ マヒロ

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一家の「幸せ」は「最悪」の扉でした――『サユリ』1巻

 押切蓮介氏の新作はじっとりと真綿で首を締め上げてくるような黒々とした厭さに満ちたホラー。

 念願の一軒家を手に入れた家族。祖父母との同居も始まり、一つ屋根の下、3世帯7人の幸せな生活が始まるはずだったのだが――。

 父親の突然死をきっかけとして、そこから連鎖する凶事。事態はわけの分からぬまま、じわじわと、しかし確実に進行していきます。

 この1巻で描かれるのはその状況に翻弄され続ける一家の姿。小さな幸せが満ちていたはずの一家がどんどん息苦しさを増して壊れていきます。
 家を手に入れた時の家族の幸せの描き方が本当に素朴でうれしそうなだけに、それがどんどん壊れていくのが恐ろしく、辛い。

 この事態の原因は何なのか、どう対処すれば良いのかすら見えないまま、とにかく続く厭な出来事。
 そこには「物凄く厭」な存在の影がちらつきますが、それが何なのか、そもそも何が起こっているのかも判然としないまま、凶事は最悪の事態へ。

 とにかく凶事の原因がはっきりしないまま恐怖と厭わしさが蓄積し続ける大1巻。
 2巻目で物語は完結とのことなので、この「溜め」がどんな最悪の形で吹き出してくるのか、非常に楽しみです。

サユリ 1 (バーズコミックス)サユリ 1 (バーズコミックス)
(2010/09/24)
押切 蓮介

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小学生の文具店細腕繁盛記『夕焼けロケットペンシル』1巻

 働かない父親に代わり、実家の文房具店を切り盛りすることになった小学生のサトミ。
 お店に閑古鳥は鳴いているし、ノウハウも無いけれど、一生懸命に頑張るのでした。お母さんとの思い出の「ロケットペンシル」を首から下げて。

 お店の経営のあれやこれやは大変ではありますが、母親が帰ってくることを信じて、家族の思い出の店を存続させようという純粋で強い意思と、それを行動に表すサトミの芯の強さ・健気さには心をギュッと掴まれます。
 そんな彼女を頼ってやってくるお客さんが増え、その人達との交流がサトミを支えて、暖かな人の輪が広がって、と彼女の頑張りが目に見える形で報われていくのが素敵。

 にしても、娘がこんなに頑張っているのにひたすら遊び呆けているお父さんがヒドい。
 ひとでなし、というのではなくてもう完全にオタクなニートで、過去にあった何かが彼をこうしてしまっているのではありますが――その辺り、お父さん・お母さんの過去の話が気になるところ。

 そしてお客さんである漫画家のお兄さんに対するサトミのまさに「初恋」というべき淡い恋愛感情。
 細かいエピソードを積み重ねた上でそれが芽生える様を丁寧に描き、大変に切ない感じでグッと来ますが、何せ歳の差が大きいので、このサトミの想いがどうなってしまうのかも実に気になります。

 サトミの頑張りで少しずつ息を吹き返し始めた文房具店。そこに集う人々のドラマとともに注目です。

夕焼けロケットペンシル 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)夕焼けロケットペンシル 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
(2010/09/22)
あさの ゆきこ

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Hな本屋の店員さんは小学生。『私のおウチはHON屋さん』1巻

小学5年生の中沢みゆの実家は本屋さん。
みゆちゃんは毎日おうちのお手伝いをしておりまりますが、ひとつ問題が。
彼女の実家はHな本の専門店だったのです……!

 と、設定からして合理的に小学生女子に思い切りセクハラシチュエーションをぶつけられる素敵な作品。

 「こんなHな本……恥ずかしい」と赤面しながら接客するみゆちゃんの姿は実に微笑ましい。
 そんなんでありながら、商品にきちんと詳しいのが感心するやら可笑しいやら。仕事熱心であることだなあ。

 そんなセクハラシチュ満載であるにもかかわらず、彼女のお店や仕事は、家族の絆の象徴だったり、お客さんとの温かい交流の場だったりで、全体的にすごい「いい話」成分が高い作品でもあります。
 セクハラと人情話の絶妙のさじ加減、奇跡の融合というべきでしょうか。なかなかこのバランス感覚はすごいと思うのです。

 これ以上ないくらいに看板娘として機能しているみゆちゃん。お客さんと一緒にそのお仕事っぷりを見守って、いちいちそのリアクションに癒されたいな、と。

私のおウチはHON屋さん(1) (ガンガンコミックスJOKER)私のおウチはHON屋さん(1) (ガンガンコミックスJOKER)
(2010/09/22)
横山 知生

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圧倒的な言語センスと疾走感は健在 『×××のゴアちゃん』

『メガストア』とか『ホットミルク』とか『メガストアH』とか『ばんがいち』とかコアマガジン系の雑誌の他、『ポプリクラブ』だの『エース特濃』だの『コミックマオ』だの、色んなところで掲載された作品を集めたG=ヒコロウ氏約7年ぶりの新刊。
 おかげで巻末の初出表記びっしり、てな感じになってます。

 日記漫画あり、ノンストップで突き抜けていくギャグあり、雑多にいろんなジャンルが混じっているのと、類稀なる言語センスと疾走感で読者をカオスの悦楽へと叩ッ込みます。
 既存の読者には説明不要、新規の読者には「Don't think. Feel!」的なヒコロウ節は健在。この唯一無二のセンスにはただただ圧倒されるばかりであります。

 そして、漫画の他にこれまた色々なトコで発表したイラストも収録。ヒコロウ氏の描く異形の女の子たちはとってもキュートだと思うんです。すごく。

 というわけで、何年経とうが待っていたファンは買わざるを得ない一冊であります。未読の人はこの発売を機に洗礼を受けると良いと思います。

×××のゴアちゃん (メガストアコミックスシリーズ No. 279)×××のゴアちゃん (メガストアコミックスシリーズ No. 279)
(2010/09/18)
Gヒコロウ

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ネコがお姉ちゃんになりました。『ネコあね。』1巻

幼い頃に両親を亡くした青年・銀ノ介は、祖母と飼いネコの杏子と生活中。
ある日突然、杏子が人間に化けられるように!
 銀ノ介の「お姉ちゃん」になった杏子と、彼女を見守る銀ノ介、そしてお婆ちゃん。「二人と一匹」から「三人」になった家族のおはなし。

 銀ノ介のために、一所懸命に「お姉ちゃん」しようとしている杏子ですが、何せ元がネコなので、やることなすことズレていたり失敗したり。
 世間知らず、というかそもそも人間の常識からちょっぴり外れている杏子の言動がいちいち可笑しいやら可愛いやら。頑張って、上手くいかなくて、でも、ちゃんと「お姉ちゃん」しようとしている杏子がとにかくいじらしい。
 その背伸びっぷりと中身の追いついていなさのギャプがまたかわいい。
 とまあ、トラブルメーカーの困ったちゃんではありますが、どうにも憎めないし、その「お姉ちゃん」であろうとする意思は本物。

 理屈や打算じゃなくて、相手に喜んで欲しいという思い、肩肘張らない無私の愛がお互いになんとなく通じる「家族」という関係。
 普通だったらちょっと照れくさくてなかなか態度や口に出せないソレを、ストレートに出してくる杏子は、とっても眩しい存在。いろいろと危なっかしいお姉ちゃんだけれど。

 ネコ耳美少女と一つ屋根の下! 的なソレとは全く違う、じんわりと温かい家族の絆のお話。
 登場人物たちの優しさが本当にあったかくて、じんわりと心に沁みてきます。
 心の底からおすすめです。是非。

ネコあね。(1) (少年マガジンコミックス)ネコあね。(1) (少年マガジンコミックス)
(2010/09/17)
奈良 一平

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マンハッタンの闇に踊る仕置人達――『瑪瑙之竜』1巻

 マンハッタンを舞台に、悪人たちを懲らしめる法を超えた仕置人たち「瑪瑙の竜」。

 両手に仕込んだ暗器を使うマナ。
 チームの紅一点・ニス。(彼女の能力、1巻時点ではまだ秘密)
 種も仕掛けもある「奇術師」・アル。
 リモコン操作の機械を使いこなすゼイン。

 そんな4人が活躍する犯罪者の捕物はショウタイム。
 悪人たちをそれぞれの特技翻弄し、軽妙なやりとりをしながらふん縛っていくのは快感。ギミックあふれる各人の能力は画面映えするし、心をくすぐる素敵さいっぱい。

 普段はクールなのに子供扱いされるとキレるマナ、そんなマナ好き好きなニス、隙の多い女たらしながら決めるときは決めるアル、常に落ち着き払った大人なゼイン、と能力と同様それぞれのキャラ立ちもクッキリハッキリ。4人のうち誰が絡んでも面白いチームであります。
 
 個性的な4人それぞれの事情が興味深いのはもちろんですが、「瑪瑙の竜」を束ねる者の意図、法を超えた彼らに対する警察の動きなどの伏線もバッチリで、ドラマがこれから転がっていく方向が楽しみ。

瑪瑙之竜 1巻 (ビームコミックス)瑪瑙之竜 1巻 (ビームコミックス)
(2010/09/15)
長澤 真

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美少女が鈴で殴ってオカルトバスター! 『兎の角』1巻

 学園で噂される女生徒の幽霊の存在。
 その幽霊事件を解決するために現れたのは――学ランの上着を着て、巨大な鈴を背負った美少女だった!

 そのなんか変な少女・真白アヤと、ちょっと陰のあるお嬢様・天沢イズミ。 
 美少女二人のオカルト解決物語は、天沢さんの生い立ちなどとも絡んで、ミステリ的な色彩も多分に帯びて深刻になりそうな気配も見せますが、そっち方面に転がりそうで転がらないこの不思議なバランス感覚。

 いくらでもダークでシリアスな方向に持って行こうと思えば持っていけそうな話を、絶妙のタイミングで肩透かしをかけて、軽妙にしてしまう真白のキャラが実に冴え渡っております。
 実にチャーミングであることだなあ。
 ……でも、彼女、○○○なんだよなあ。
 ……それもまたよし!
 セクハラ描写も多めで、コメディ度と眼福度を上げるのに一役も二役も買っております。

 でもそんなんでありながら、真白と天沢さんの関係性とか、きちんと締めるべきところは締めるソツの無さは実に巧みであります。キュンとしちゃう。

 しかしコレ、コミックス化の際に相当量の新規描き下ろしがされておりますな。エピソード間の補完がされていたりして『fellows!』で読んでる人も、これはひとつコミックスを是非。
 未読の人は言わずもがな、ということでおすすめ!
 睦月のぞみ氏の描く、どこかがちょっと暴走気味の女の子はいつだってかわいいのです。

兎の角 1巻 (ビームコミックス)兎の角 1巻 (ビームコミックス)
(2010/09/15)
睦月 のぞみ

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ちっちゃなお姉さんは好きですか? 『私がお姉ちゃんなんだからね!』1巻

 高校生なのに小学生に間違われるほど小さなお姉ちゃんと、小学生なのに背が高くて巨乳な高校生みたいな妹。
 傍から見ると姉妹逆にしか見えない二人の仲良し姉妹コメディ。

 中身よりも年下に見られることにコンプレックスと反発を覚える姉。高校生だよ、お姉ちゃんだよ! と憤慨しますが見た目が小学生なのでその様さえもなんだか微笑ましいという。

 いっぽう妹。ボンキュッボンのダイナマイトバディなのに中身が無垢の天然系なので、本人にその気がなくとも周囲に要らぬ誤解を与えまくり。

 そんな二人の見た目と中身のギャップが生み出す可愛らしさと可笑しさを軸に、微笑ましい姉妹愛を絡めて描く女の子たちのキャッキャウフフ。

 いやー。高校生であることをムキになって主張するお姉ちゃんかわいい! 妹はなんかエロい! ということで。
 難しいことは要らない、姉妹とその周囲の女の子たちのスキンシップ多めの日常コメディであります。なんか癒されるというか。
 女の子ばっかりのおはなしかと思いきや、1巻ラストで微妙に恋愛フラグがたったのか? というあたりで今後の展開も気になるところ。

私がお姉ちゃんなんだからね! ? (フレックスコミックス)私がお姉ちゃんなんだからね! ? (フレックスコミックス)
(2010/09/11)
鰻丸

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ファニーでハートフルなゼンマイ仕掛けの幼なじみ『クロックワークガール』

 幼なじみの女の子・あしほが目の前で交通事故に!
自称「下町のエジソン」なお母さんの手によって彼女はぜんまい仕掛けのロボットとして生まれ変わったのだった!

 『ハカセのセカイ』『みこととみこと』のハラヤヒロ氏の久しぶりの新刊は、やっぱりちょっぴりファニーテイストなコメディ。

 顔にビス止めされてたり、頭にアンテナがたってたり、背中にゼンマイ刺さってたりするあしほさんですが。本人的には事故ったことも、そんな体であることも全く気にすることなく、あっけらかんと楽しげに生きております。
 リモコン操作したり、ゼンマイ巻いたりする健太君も、状況に振り回されながらも変わることなくあしほに接しておりますし、友人たちもまた然り。
 一人の女の子の運命の激変を本人含めのほほんと受け入れてしまうこのファニーさが素敵。
 やがてライバルとしてのもう一人のロボ娘さんが出てきて物語は大きく動きますが、やっぱりファニーな空気は最後まで。

 この得難い変さ加減と、それを覆うハートフルな空気。いいなあ。
 是非また別の作品を読みたいなぁ。次の作品、楽しみに待ってます。

クロックワークガール (IDコミックス REXコミックス)クロックワークガール (IDコミックス REXコミックス)
(2010/09/09)
ハラ ヤヒロ

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猫になって見直す人生の温かみ。『ハッピーエンドではじめよう』1巻

 死んだ後に与えられた、猫になって生きる1週間。
 次の命に生まれ変わる前に、そんなちょっとした時間をもらった人たちのそれぞれの物語。

 登場人物たちは皆、ちょっとした後悔や未練、そんなものを抱えつつ、「猫」という今までとは異なる視点・世界から自分の人生を見つめ直します。
 そこで初めて見えてきたことから、ある人は気持ちに整理をつけ、ある人は反省して次の人生の糧とし、またある人は関わった人への感謝を新たにして。

 人の「死」を描きながらも、そこに暗さや悲しさはあまりなく、次の一歩を踏み出すため、今までを振り返る一時の休憩、といった風。

 肩肘張った人生も、傍目にはダメっぽい人生も、大変そうだった人生も。
 全部がかけがえのないものであった、次につながるものであるという祝福。

 次の命というものがあるのか、死んじゃったら、実際はどうであるかは知れないものの、こうであったら素敵だな、と感じる温かさに満ちています。

ハッピーエンドではじめよう 1 (まんがタイムコミックス)ハッピーエンドではじめよう 1 (まんがタイムコミックス)
(2010/09/07)
本山 理咲

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お転婆月の姫流離譚『月華美刃』1巻

『TISTA』の遠藤達哉氏が放つ新作は「かぐや姫」をモチーフにしたSF活劇であり、そして王たる運命を背負った少女のビルドゥングスロマンでもあり。

 側近たちも手を焼くお転婆姫の日常から、人々に慕われる「銀后」たる母の病、戴冠式でのテロ、そして「穢星」への逃避行――とジェットコースターのような怒涛の展開の中に、権力争いに絡んだ謀略、側近の忠義、母子の絆、人の上に立つものの責任と覚悟――といったドラマをギュッと濃縮して魅せに魅せる第1話。
 もう、この1話でグイグイと話に引き込まれました。すごい作品が始まったぞ、と。

 お転婆ではあっても世間を知らなかったカグヤが穢星で必死に生きる人々の姿を実際に目にし、また政敵の刺客との戦い、そして彼女を輔けてくれる人々と出会い、いかに成長していくか。

 しかしその道には常に、優しくも厳しい母であり、同時に民に慕われる理想的な施政者「銀后」であったフジヤの、目標とすべき大きく暖かな背中が見えているのですから、以下に険しかろうと道を違えないであろう確信と清涼感があります。

 ドラマ的にはかなりハードなことが起こっておりますが、元気(でちょっとおバカ)なカグヤのキャラと、ポップな描写でとっつきやすいのも素敵です。
 カグヤを追って現れる刺客が「求魂者」(きゅうこんしゃ)とか、そういうセンスもシャレが効いていてまた素敵。

 読まなきゃ損、のレベルでお勧めしたい一作です。

月華美刃 1 (ジャンプコミックス)月華美刃 1 (ジャンプコミックス)
(2010/09/03)
遠藤 達哉

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Author:棘叢庵主人
棘叢庵主人凡鳥でございます。
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