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山猫憑きの少女との不思議な触れ合い――『やまンこ!』1巻

 声に出して読みたいタイトル――ではなくて「山猫」の訛りであり、また「山の子」。
 田舎から出てきた少女・音々子は「山猫憑き」の血筋。吃驚したり感情が高ぶったりすると耳と尻尾が出てしまうので、それを隠し通すのは難儀でありまして――。

 「山猫憑き」といっても憑き物筋の差別とか、憑物の成り立ちの暗い話とか、そういうのは一切無くて、猫耳と尻尾が生えちゃってちょっと身体能力が上がって、勘が鋭くなるよ! でも普通の生活でバレちゃったらちょっと困るよね! というイージーなノリのお話。

 黒髪のロングでツリ目、ちょっと気が強げで、いかにもしっかりしてそうな造形の音々子ですが、意外と感情的で耳や尻尾をぴょこぴょこ出してしまって、それで慌てるのが何だかとても可愛らしい。
 その音々子の山猫憑きの現象を、体に触れる鎮めることができる引っ込み思案の長身少女・眞琴がいるので、耳と尻尾が出ちゃった音々子は彼女をぎゅっとします。これで物語の必然として女の子同士が頻繁に密着しているって寸法さ! そうか、これは百合漫画だったのか――というくらいに、頻繁に密着しております。というか、物語的にもそういう方向かも。

 その他に、天然系ロリっ子・千実がこの世ならざるモノを見ることができる目を持っていたり、不思議要素はありつつも、基本はやっぱり女の子たちのちょっとイイ話な交流の物語。あまり難しいことは言わず、女の子同士がぺたぺたしてる様を「いいなあ」と見れる漫画であります。

 放尿シーンとか、さらしに締め込みとか、ボーボー……じゃないと思う、とかさり気なくマニアックな描写をはさみ込んでくるのはポイント高し。

やまンこ!

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(2010/03/27)
雑破 業

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テーマ : オススメ漫画
ジャンル : 本・雑誌

女子小学生が声優!――『こーしょー19さい』1巻

 公称19歳の人気声優・泉乃音。顔出しNGなことから様々な噂が囁かれるが、その正体は――11歳の現役女子小学生声優だったのだ!

 女子小学生で声優! 大変にキャッチーな設定の上で、乃音ちゃんのプロらしい仕事ぶりと、年相応の小学生らしさのギャップがネタとして効いていてきっちり楽しい作品。
 学校でつい朗読に力が入ってしまって先生に驚かれたり、恋愛モノの演技で言葉の意味を教えられて照れちゃったり、うろたえちゃったり。 途中で巨乳の新人声優が入ってきて、一生懸命先輩として振る舞ったり。胸にコンプレックスを感じてみたり。
 そういう乃音ちゃんの反応がいちいち微笑ましくて、なごむやら可笑しいやら。
 頑張る小学生とそれを暖かく見守る大人(ときどきやりこめられる)、の構図がしっかりしている中で、乃音の元気で活動的なキャラが非常に気持ち良くて可愛らしい。

掲載誌は「メンズヤング」ですけれども、もエロは無し、(ちょっとエッチな言葉やシチュエーションに赤面する程度)なので誰にでも薦められて安心。


こーしょー19さい

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(2010/03/27)
逸架 ぱずる

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テーマ : オススメ漫画
ジャンル : 本・雑誌

奇妙な住人たちとの優しい物語――『境界線上のリンボ』1巻

 人とエルフの間に生まれ、その両種族から疎まれてきた少女・フゥ。故郷を離れてたどり着いた先は、人外の住人達が暮らす、異世界との境界の街「リンボ」。
 奇妙な住人達が暮らす奇妙な街で、フゥと住人たちとの日々の交流を描く、ファンタジー4コマ。

 マイノリティな種族の人々が、それぞれに何らかの事情を抱えつつも自分らしい生き方をすることができている街、リンボ。人々との触れ合いや、不思議な物事との出会いを通じ、ちょっとづつ大切なものを得て行くフゥ、そしてそれぞれの生き方をする人々が優しい視線で描かれていて、読んでいてじんわりと暖かな気持ちになってきます。
 魔法や、魔法を応用した魔導技術が生きている世界感も素朴に、しかししっかりと魅力的に描かれていて、物語を包む柔らかな空気を作りだしております。

 「きららキャラット」掲載らしからぬ――というと語弊があるかも知れませんが、はっきりと独特の物語世界を作りだしている作品。是非この魅力的な世界とキャラクターたちの暮らしを見ていただきたいな、と。

 でも、「リンボ」(辺獄)というストレートな街の名前から、実はこれ、死後の物語なんではあるまいか、と思って見てしまうと微妙に作品の陰が強くなってきますが、これはちょっと穿ちすぎですかね。

境界線上のリンボ

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(2010/03/27)
鳥取砂丘

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テーマ : オススメ漫画
ジャンル : 本・雑誌

点子、頭を良くしてあげよう――『薔薇だって書けるよ』

 白泉社「楽園」(web増刊含む)掲載作品を中心に同人誌発表作品「晴田の犯行」、書下ろし作品1編を加えた著者初単行本。

 これがデビュー単行本か! と唸ってしまうほどに巧い。収録された短編はどれも素敵なのですが、表題作が抜群に素晴らしい。

 天真爛漫、奔放不羈の魂を持つ少女・点子と結婚した男。幸せで甘い新婚の日々、しかしあまりに浮世離れした点子に男は次第に引け目を感じるようになり、やがて彼女は悪気のないまま、とある間違いを犯し――

 点子のその笑顔は俗世と切り離された天界の住人のそれであり、彼女が求める「幸せ」は現実の細々としたルールにはとらわれない。
 例えば、『智恵子抄』。例えば、安吾の『白痴』。――点子の美しさは、そんな白痴美とも言うべき現実に毒されることのない真っ白な美しさ。二人きりの世界でそれは無上の美ではあっても、ひとたびそれが現実と接点を持てばたちまち地に落ちて泥に塗れる危ういものでもあり。
 一読したとき、これは筋少の『香菜、頭を良くしてあげよう』であろうか、とも思いました。愛する白痴少女に色々と物事を教えて、全てが終わる日の後も少女が生きていけるように――という歌。
 「頭を良くしてあげよう」という一見すると上から目線の物云いだけれども、実は、その少女と関わることで本当に救われるのは、生きていけるようになるのは少女の方ではなく、男の方ではあるまいか――そんな歌。
 でも、物語はその印象を軽々と超えて軽やかな着地を魅せてくれたのでありました。

「薔薇だって書けるよ」で、あまりに浮き世離れしすぎている点子を人前に出すのを憚る気持ちに囚われる男が、彼女を「一般的な女性」にしようと教育しようとするが、点子の魂はそれに縛られることは無く、二人の甘やかで幸せだった時間はやがて一度は崩壊します。
 しかし、そこから彼女の魂を損なう事無く、彼女の天使の笑顔を保ったままに再び愛情を回復していく様が、変に重くなく、明るく、また男の純情が可愛らしくもあり、大変に良かった、素晴らしかった、と。

 表題作の事ばかり述べてしまいましたが、収められた短編はどれもきらきらした輝きに満ちた素敵なものばかり。興味を持った方、是非ご一読を。損をしない保証をいたしますよ。

薔薇だって書けるよ

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(2010/03/26)
売野 機子

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テーマ : オススメ漫画
ジャンル : 本・雑誌

ためらいのないパロディがくだらなくて素敵。『めがらにか』2巻


 1巻もヤバいパロディネタが多かったですが、2巻は、ブレーキ壊れちゃったのかナー、と思うくらいにヤバめかつためらいのないパロディてんこ盛り。表紙からして既にヤバい。

 聖闘士○矢、オ○Q、銀○鉄道999、マク○スF、等々……キャラから台詞回しから一発ネタまで、読んでいるこっちが「アブねえよ!」と突っ込んでしまうバロネタを、次々とブッ込んでおりまして、このバカバカしさとくだらなさが最高に素敵です。もう反則スレスレ、捨て身のギャグ。

 1巻よりもさらにサービスシーン大増量、キャラはどんどん残念な人たちになって、物語は当初の方向性を見失って、いやもう、本当にヒドい。バカじゃねえの!(褒め言葉)

めがらにか 2 (GUM COMICS Plus)めがらにか 2 (GUM COMICS Plus)
(2010/03/25)
高槻 ナギー

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テーマ : オススメ漫画
ジャンル : 本・雑誌

田舎でゆるゆる、でもキャラの立った笑いが。『のんのんびより』1巻

 小学1年生から中学3年生まで、5人の生徒と先生1人の田舎の分校。そこでのゆるゆるとした日常をたっぷりの笑いを込めて描くド田舎コメディ。

 田舎を舞台としていても、ノスタルジーや自然や人情の濃さなどが前面に出ているのではなく、所謂田舎的なおおらかさというかテキトー加減の中で、可愛らしくキャラが立った女の子たちのやりとりの妙が楽しい作品。

 田植えとか、いかにも田舎なイベントを挟みつつも、基本的には取り立てて特別な事は無い平穏な日々。でもそのなんもない中で、個性を発揮しながらゆるゆると遊び回るキャラクターたちが面白かわいいったらありゃしない。
 思わずぷっと噴き出してしまう言動多数で、何だか幸せです。

のんのんびより 1 (MFコミックス)のんのんびより 1 (MFコミックス)
(2010/03/23)
あっと

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テーマ : オススメ漫画
ジャンル : 本・雑誌

一挙に投入10人ヒロイン――『スターマイン』1巻

 彼女が欲しい! と流星群に願った次の日、9人(+1人)のヒロインがやってきた! 個性豊かなヒロイン達との同居生活を描く4コマラブコメ。

 第一話で10人のヒロインが全部登場するので、名前とキャラを一致させるのがなかなか大変ですが、その後書くヒロイン別のエピソードが語られることでキャラ立ちを再確認。1巻全部読み終わってヒロイン一巡、みんな属性装備のキャラ立ちをしていてかわいらしい。お約束を踏まえつつ、ズラしかたが絶妙。

 大抵こういう場合王道ヒロイン属性を振られている女の子は影が薄くなりがちですが、尻尾のように感情表現をする髪と、意外な積極性、そして他キャラの絡みの多さで風見さんは超頑張っていると思います。
 ツンデレなのに弄られキャラになってしまっている叶得さんマジ不憫。

 そして監視役の志染さんが妙に美味しい役どころを持って行ってる&存在感があって、実は彼女が隠れルートで一番人気なんじゃねえの!? みたいな。

 主人公一人をヒロイン全員が好いている、でもヒロイン間での軋轢はない、というハーレム的状況の中で、実は恋愛モードの比重は高くなく、キャラ同士の個性を発揮した掛け合い、キャラの立たせ合いが主ですが、そんな中にするっと放り込まれるベタ甘のフラグ立てイベントが砂糖菓子の如く甘くてこっぱずかしくて――だが、それがいい。

 とにかくキャラが命! の作品。大量の個性派ヒロインたちのドタバタ劇が賑やかで、きらびやかで楽しいなあ、と。

スターマイン

スターマイン 1 (IDコミックス)スターマイン 1 (IDコミックス)
(2010/03/20)
ストロマ

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テーマ : オススメ漫画
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明るく素敵に狂ったラブラブ――『れすきゅーME!』1巻

 「チャンピオンREDいちご」連載、巻田佳春氏の初一般単行本。

 自宅に家政婦としてやってきた同級生の美少女が主人公に猛烈アタックをしかけまくり。そこに年下の叔母(貧乳)まで加わって主人公誘惑合戦が開始。主人公はヒく。

 そんなうれしはずかしラブコメ、或いはエロコメ――と言ってしまうには何か違う、巻田氏独特のかわいい、でもブッ飛んだ妙なノリが全編くまなく充満。「巻田音」もきゅんきゅんと鳴りまくっております。

 何の葛藤も無しに同級生の家政婦をやることになるヒロイン、この時点でだいぶ変なわけですが、それも含めて全体的にヒロインの思考がおかしい。明るく狂っております。でもかわいい。とてもかわいい。
 とにかく罪悪感とか羞恥とかそういうものは一切無しに積極的にHな方向性に突っ走っていくヒロイン達。

 でもラブラブというのとはちょっと違う、かといって淫乱とも違う、配線を一本間違えた甘ラブ、とでも言いましょうか――だって、アタックに主人公思いっきりヒいちゃってるんですもの。愛の暴走列車と化したヒロイン達は、主人公がヒいちゃってるのを余所に、そのズレたラブを一層加速させて行くのでありました。

 サービスシーン激多で、ちゃんとHで女の子は甚だしくかわいい、そのことだけでも素敵ですが、それ以上に、この巻田氏の作品全般に漂う、平然と明るく狂ってるノリが素晴らしいなあ、と思うのです。

れすきゅーME

れすきゅーME! 1 (チャンピオンREDコミックス)れすきゅーME! 1 (チャンピオンREDコミックス)
(2010/03/19)
巻田 佳春

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テーマ : オススメ漫画
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漫画家煮え煮えファイト! 『西原理恵子の人生画力対決』1巻

 西原センセが他の漫画家と画力を競い合うという、もうそんなの面白いに決まってるじゃあないか! という企画。

 しりあがり寿やみうらじゅんといったサブカル枠から、藤子不二雄A、ちばてつや、やなせたかしといった漫画界の元勲、「あの人は今」枠としての江口寿史、そして福本伸行。
 などなど、錚々たる面子による漫画家としての拠って立つところのものを賭けた真剣勝負。のはずなのに、西原先生の人いじりの巧さもあって、煮え煮え具合が素晴らしい。

 作品が映画化したり、コメンテーターとしてNHKに出たり、いまやもう「文化人」枠としても名声を獲得している西原先生。そういう西原先生だからこそ実現できた企画であり、暴言もケンカの売り買いもプロレス的なものではありましょうが、いやあ、それでもやっぱり偉大な漫画家達のトホホなイラスト勝負・西原先生のつっこみの激しさには思い切り笑わせられてしまう凄みがあります。

西原理恵子の人生画力対決 1 (コミックス単行本)西原理恵子の人生画力対決 1 (コミックス単行本)
(2010/03/17)
西原 理恵子

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テーマ : オススメ漫画
ジャンル : 本・雑誌

命の根源に繋がる水を掬った短編集『世界の合言葉は水』

 「コミックリュウ」龍神賞は、好きな作風の作家さんが次々と出してくるなあ――。

 というわけで、この単行本も龍神賞作家・安堂氏の初単行本。「リュウ」に掲載された短編9作を収録。

 キーワードは水、というか、生命の根源を水や海といったエレメント:水に託し、するりと物語に染みこませてあります。
 それぞれの話、ポコリ、と起きる不思議な現象は、不思議なんだけれども、何だか当たり前な顔をしていて、開かれた明るい感じでとてもフラット。でも、その現象はどれも生命の根底に結びついていて、小さいスケールの物語なのにとんでもなく深いところに繋がっている、というか。
 うーん、言葉で説明するのは難しいのですが、不思議な空気と魅力を湛えた物語群であります。

 個人的には、こういう感覚ってすごいな! と感心し、そういう繋がりになるか、と唸った「ぎゅう」、海の中の家、そこから経験する天気が不思議で豊かな「海の天気」、不思議な現象とそれに魅せられた男女を描いた「エンガイ」なんかが特に好きです。

世界の合言葉は水

世界の合言葉は水―安堂維子里作品集 (リュウコミックス)世界の合言葉は水―安堂維子里作品集 (リュウコミックス)
(2010/03/15)
安堂 維子里(あんどういこり)

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テーマ : オススメ漫画
ジャンル : 本・雑誌

おもろうてやがてじんわりとくる父と娘の関係――『響子と父さん』

 長女の響子さんはイラストレーター。
 お互いに気に掛けているけれど、素直に気遣うにはちょっと照れくさい家族の絆を描きます。

 もう、このお父さんの行動がいちいち素晴らしい。
 面白い、というのは勿論ですが、ある程度歳の行った我々の父親の実際のソレを考えてみても「ああ、父親ってこんな感じ確かにあるよなあ」という納得感がものすごい。

 父親がどんなにトホホな行動をして、そのことに怒ったり呆れたりしてしまったとしても、それはそれまで積み重ねた人生の時間の中でそうなっちゃっているものなので今更どうにもなるものでもなし、世話になってきたことだし、何より自分の父親だし、何だか年取ってきちゃってるしで「まったくもう、この人はしょうがねーなー」と苦笑するしかない、という感覚。

 微妙に時代についていけてない、ちょっと抜けた自分勝手な理屈で行動してトホホな結果を招く、そんな「しょうがねーなー」感溢れる父さんが実にキュートであります。こんなにも等身大で魅力的な「父さん」を描けるって素晴らしい。

 それを口うるさく注意する響子さんとのやりとりがまた可笑しくて、でも心がじんわりとするものがあります。
 娘を思う父の気持ち、父を思う娘の気持ちを、笑いにくるみつつも、素朴な描写からしっかりと「家族愛」として紡ぎ出していて、心の底から巧いなあ、と感嘆しきり。

 行方不明になっている「妹」に関する話も、父さんの不器用っぷりが遺憾なく発揮されていて素晴らしい。
 こちらのエピソードが『ネムルバカ』とも関連していてこういうところもまた心憎い。

 ああ、何だか読んでいてほくほくと嬉しくなってしまう作品であることだなあ。

響子と父さん

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(2010/03/13)
石黒 正数

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テーマ : オススメ漫画
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細部にこそ神は宿る――『少女素数』1巻

「かわいい屋さん」営業中。

 ――思わず唸らされる素晴らしい惹句であります。
 本作はそんな少女の「かわいさ」がこれでもか! と詰まった作品。

 中学校に入学したばかりのハーフの双子少女、あんずとすみれ。彼女たちが慕う「お兄ちゃん」の側での生活を通じて、二人の「少女」の時間を描き出します。

 「かわいい」がたくさん詰まっているのは勿論なのですが、細かい描写から「少女性」の追求が、ちょっと凄いのですよ。

 体つきや服装、言葉遣いといった部分は勿論のこと。
 たとえば、顔を近づけたり、という女の子同士の物理的距離。表情の変わるタイミング。親しい年上の「お兄ちゃん」と同年代の男子ぱっクンとの、男性に対する距離の置き方の違い。
 などなど、本当に何でもないシーンの端々から圧倒的な説得力を以て立ち上る少女性の数々。

 それらが、あんずとすみれという顔は似ていても性格が異なる二卵性の双子が、一つのことにそれぞれ差違のある反応をすることで一層際立つという、恐ろしいまでの完璧さ。
 ふにゃっとした笑顔のあんず、ちょっと大人なすみれ。似て非なる二人が凄い近い距離で見せる対比。
 一つの究極の「少女の時間」がここに結晶していると言っても過言ではありますまい。

 甘えたり、恥ずかしがったり、怒ってみたり、大人びてみたり、落ち込んだみたり、でもやっぱり基本はたのしく笑っていたり。
 めまぐるしく変わる表情の中に詰まった、人生のほんの一時しか存在しない、きらきらしい理想の「少女」の時間を活写する筆の鋭さに見とれるとともに、空恐ろしさを覚えずにはおれません。いや、ちょっと本当に凄いですよコレ。

少女素数

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(2010/03/12)
長月 みそか

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テーマ : オススメ漫画
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より騒がしく、よりバカに! アサイ『みんなミュージカル』1巻

 ミュージカル漫画ではないのです。学園ギャグ漫画。

 Webから「コミックハイ!」での連載に遷り、基本的なキャラの性格や関係性はそのままに、物語を一旦リセットして最初から。Web版では最初から出来上がっていた関係が、どんな感じで築かれてきたかを描き直す感じ。

 そしてエピソードはより賑やかに、より騒がしく、そしてより無茶に展開。いきなり交通事故でドーン! から始まったかと思えば学校で巨大ワニと対決したり、下着姿などのサービスシーンも増量、とにかく派手さと勢いにませて思い切り疾走しております。ワニってどっから湧いて出たんだよ!

 ヤンキー系少女(でも頭がいい)、眼鏡っ娘(でもバカ)、金髪白人少女(しかし名古屋弁)、と異様にキャラ立ちしているヒロイン陣。
 中でも、女の子が話す方言はやっぱりかわいいなあ、と再確認させてくれるエリーは実に良いキャラクターであることだなあ。コンプレックスの表出の仕方もかわいくて、外見とギャップがあってまたそこが素敵。

 そんなヒロインたち(と男性陣含む)が、そのキャラクターを遺憾なく発揮しながら、ポンポンとテンション高く掛け合いをすることで生み出されるギャグ(下ネタあり)が、スコーンと理屈無く愉快で素晴らしい。

 色々美味しい展開できそうな属性てんこ盛りなのに、バカなエピソードに突っ込んじゃうその心意気に敬礼。

みんミュー

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(2010/03/12)
アサイ

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twitter始めてみました

猫も杓子もすなるついったーといふものを小生もしてみんとてするなり

というわけで、時流に乗ってtwitterを始めてみました
あ、今更ですか。すいません。

まだ始めたばかりで使い方がいまいち分かっておりませんがぼちぼちやっていきますよ。
最近時間が無くて感想が滞りがちなので、簡単な感想などをこっちで書ければ、などと考えております。



美少女が食って吐く! そして大変なことに! 『ハルシオン・ランチ』1巻

 ああ、ヒドい。これはヒドい(褒め言葉)。
 沙村氏のギャグが最前面に押し出された作品。

 地球外美少女がイート&オート。「オート」ってアナタ。

 何でも食ってしまう宇宙人不思議美少女・ヒヨス。彼女が食った物を吐き出すと色々と混じってしまうので大変なことに。
 ヒヨスを保護することになったプー中年の人生は、復権を果たすどころか、大変なカオスへと落ち込んでいくのでありました。

 画や物語もそうですが、ギャグらしくない手法を惜しげもなくぶち込んでおきながら、カオスと益体も無さでギャグに落すという豪華さとのギャップが笑いを産みます。いや、本当にヒドい(褒め言葉)
 プー中年の人生を取り戻す物語、的な下敷きがありますが、一体どこに物語は向かって行くやら。いや、この下敷き自体がギャグであるのか。

 美少女の嘔吐、というニッチなエロスもあります。いや、エロスなのか。とにかく色々とスゲエ作品だなあ。大変笑わせていただきました。

ハルシオンランチ

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(2010/03/05)
沙村 広明

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文化祭の中でファンタジーが跳ね回る『水面座高校文化祭』1巻

 祭り、というものはハレの場であり、そこは非日常の舞台なのであります。
 だから、文化祭で非日常的ドラマが紡がれるのは必然であり、そこには如何なる者が現れても全く不思議ではないということで。

 『くおんの森』の釣巻氏が描くのは文化祭を舞台にしたファンタジー。文化祭の喧噪の中、色々な立場の参加者が経験する物語を1話完結の形式で描いていきます。 それは個人の物語であったり、お化け達の青春であったり、地球の運命を左右する宇宙人との遭遇の物語であったりと、とにかくバラエティに富んだ構成。
 そんなトンデモないドラマを飲み込みながら、しかしひたすら騒々しく、賑やかに続いていく文化祭。

 それぞれの物語は独立したものですが、「自分が委員長を務める以上、失敗はない」の信念の下に行動するバイタリティあふれる文化祭実行委員長・花屋敷都の存在がエピソードを繋いで、それらを(本人は意識せずに)「文化祭」の一場面に巧みに組み入れて、ハレの場がひたすらに続いていく様子は、心ときめくものがあります。
 文化祭というハレの場、このファンタジーの発生場所に説得力を持たせるのはやはり釣巻氏の画。この人の画には引き込まれるような魅力があって、やはり実に素晴らしいなあ、と。

水面座高校文化祭

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(2010/03/05)
釣巻 和

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規格外のヒロイン登場! の女子格闘漫画――『鉄風』1・2巻


 生まれ持った才能で様々なスポーツをこなすことが出来てきた女子高生・石堂夏央。何でも上手くこなせることに「寂しさ」を感じていた彼女が、ブラジル帰りの同級生・馬渡ゆず子と出会い総合格闘技にのめり込んでいく――

 格闘少女モノ、と言って済ますには主人公・夏央のキャラクターがあまりにも強烈で魅力的。
 自分には才能がある、という事実を冷静と傲慢を以て受け止めていながら、でも才能がある故に「努力」をすることができないこと、一つ事にのめり込めないことに退屈と「寂しさ」を感じている夏央。
 その才能ゆえのプライドの高さと、満たされない渇きが一緒くたになって「私は充実している人間を――許さない!」と言い放たせる獰猛さと歪みを生み出していて素晴らしい。なんとアンチヒロイン的な! 何と黒々としたハートを持った主人公であることか! ふつうのヒロインはこんな怨念の籠もった台詞を凄まじい目つきで言い放ちませんよ! ネコがネズミを弄ぶように他者を潰しませんよ! という。

 そんな夏央ですが、敢えて自分が総合格闘技の道に踏み入るため、力量の差を理解した上で通過儀礼としてゆず子に「負け」に行ったりとストイックな面を見せたり、格闘とは無関係の友人の前では、自分の「努力をしたい」「その努力による充実を得たい」という本音を飾らずに話したり、ジムに通って素直に練習したりと、案外真面目で素直な面も多々見られ、実はものすごく不器用な女の子、という側面も覗われて。
 戦いの際の相手を蔑んだ余裕を含んだ攻撃的な視線と、自分の願いを語る際のはにかんだ表情、これが同居しているのが魅力的です。

 未知のスポーツに挑戦していく物語、青春の充実を求める物語、と王道の要素でありつつも、それを演じるのは実に強烈で個性的な役者。
 自分の「努力」できる対象を見つけるために他者を見下し踏み台にしていく獰猛さ、充実した他者に向ける嫉妬の視線とそれを認めないプライドの高さ。それと合わせて存在する「充実した日々を送りたい」というピュアな願いとストイックさを持った夏央の独特の魅力が物語を牽引します。
 衝撃的な強さを持ったゆず子達のライバルキャラ、脇を固めるも非常に魅力的で、その中でこの獰猛でストイックな夏央のキャラがどう動いていくか。
 今、最も毎回の連載が楽しみな作品の一つであります。

鉄風
鉄風 1 (アフタヌーンKC)鉄風 1 (アフタヌーンKC)
(2010/03/05)
太田 モアレ

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Author:棘叢庵主人
棘叢庵主人凡鳥でございます。
日々読んだ漫画の感想などを綴っていきます。

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