スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「このマンガが凄いから読め!2010」棘叢庵的お奨め

今年もコミックスの発売は完了し、そろそろ一年の総括をするべぇか、と思っていたところで『このマンガが凄いから読め!(仮称)γ版・2010』の企画にお声掛けいただいたので、渡りに船、とばかりに乗っからせていただこうかと。
一年を振り返ってそれなりに読んだ(でも感想書けなかった……)なぁ、と。あれもあった、これもあったでなかなか選ぶのに難儀もし、それがまた楽しくもあり。
 それでは、以下に私的印象に残った5作品を。


5位:松本トモキ『プラナス・ガール』

プラナス・ガール 1 (ガンガンコミックスJOKER)プラナス・ガール 1 (ガンガンコミックスJOKER)
(2009/08/22)
松本 トモキ

商品詳細を見る

 男の子にこんなにもハートを揺さぶられるなんて!
 可愛いけど男だし男だけど可愛いし――と翻弄されるのがこんなにも甘美だとは。
 本当に男かどうか証拠を掴ませないあたりもまた心憎い。
 女装少年モノという今年躍進したジャンルを象徴する一作ではなかろうか、と。


4位:藤こよみ『このこここのこ』

このこここのこ 1 (IDコミックス REXコミックス)このこここのこ 1 (IDコミックス REXコミックス)
(2009/12/09)
藤 こよみ

商品詳細を見る

家族モノに投げ込まれた変化球。ヒロインの千紘の微妙に可愛らしい屈折っぷりと、主人公遥斗の真っ直ぐさ加減の対比から生まれるドラマが面白くて、くすぐったくて。いやあ家族って本当にいいものですね。
(→感想記事


3位:野村亮馬『ベントラーベントラー』

ベントラーベントラー 1 (アフタヌーンKC)ベントラーベントラー 1 (アフタヌーンKC)
(2009/02/23)
野村 亮馬

商品詳細を見る

のほほん系SF。緻密に世界を構築しているのにこの平和な日常感はステキ。その世界をやっぱりのほほんと暗躍(?)する案外食わせ者なクタムさんがまたステキ。


2位:三上小又『ゆゆ式』

ゆゆ式 (1) (まんがタイムKRコミックス)ゆゆ式 (1) (まんがタイムKRコミックス)
(2009/03/26)
三上 小又

商品詳細を見る

このセンスは凄い。分からない人には多分全く伝わらないであろう微妙~な感覚。予想もしなかったものすごいツボをこれまた微妙な力加減で押してくるこの恐ろしさよ。天才かも知れない。そしてかわいい。
(→感想記事


1位:つばな『第七女子会彷徨』

第七女子会彷徨 1 (リュウコミックス)第七女子会彷徨 1 (リュウコミックス)
(2009/07/18)
つばな

商品詳細を見る

SF(すこしふしぎ)の遺伝子を多分に受け継ぎつつ、独特なテンポとギャグを展開。
 キャラ作り、エピソード、ガジェットのユニークさがとにかく印象的で、今後の作品がものすごく楽しみな作家さんの登場ということで。


便宜上、順位を付けましたが、どれも甲乙付がたい素敵な作品ばかり。というわけでその作品に出会った時の衝撃や、この後への期待という意味も含めて、新人作家さんの単行本デビューとなる作品から5作品を選んでみました。勿論、既存作品も好きな作品はたくさんありますが、今回はこれで。
っていうか、今年は本当に感想書けてなかったですわねアタクシ。
来年はもうちょっと何とかします。何とかするんじゃないかな。何とかできるといいな。
スポンサーサイト

鮮烈な音楽との再会が導く「自分の音」探し――『天にひびき』1巻

 オーケストラと不協和音を奏でる指揮者である父に代って、天才的な指揮をして見せた少女・ひびき。少年時代にその鮮烈な音楽に触れた主人公・秋央だが、時は流れ音大で不完全燃焼な日々を送っていた。そんな中で、ひびきと再会を果たすことに――

 やまむら氏の新作はオーケストラを題材に採った青春物語。
「人を魅了する音楽」というものを演奏者や聞き手の表情から描き出すのが圧巻。
 特に序章の、年端も行かないひびきの指揮によって、プロのオーケストラの心を掴んで否応なく引っ張られ、最高の演奏に至る様子がすごい。余裕、戸惑い、緊張、理解、恍惚と演奏者達の心の動きと、それに連れて音楽が刻々と変化していく様子、それらを動かすひびきの活き活きとした表情。主人公が衝撃の出会いだったと語るに十二分な説得力を持って、ひびきの音楽が読者の前に提示されます。

 自らの才能に悩む若者が天才との出会いによって変化していく、という物語の中で「才能」の役割を振られているひびき。彼女の天真爛漫な明るいキャラが、くすぶる秋央との対比の前でも前向きに物語りを引っ張ってくれて、「自分の音」を奏でるために才能と苦闘する物語でありながら明るくて爽快感があるのもまたポイント。
 1巻ではまだ顔見せ程度の脇役達がこの後どう絡んでくるか、今後の青春劇に大期待。

天にひびき

天にひびき 1巻 (ヤングキングコミックス)天にひびき 1巻 (ヤングキングコミックス)
(2009/12/28)
やまむら はじめ

商品詳細を見る

心だけでもない、体だけでもない問題――『セックスなんか興味ない』1巻

 「何事か」と思わせる非常にインパクトの強い、センセーショナルなタイトル。これだけでもうやられたという感じであります。。

 「セックス」を鍵にした様々な男女関係を読切り形式で描くこの作品。
 年頃の男女の恋愛話ばかりではなく、熟年の昔なじみのセックスや、美男美女同士ではない関係、同性愛者とその友人、等々バラエティに富んだ愛と肉体の関係のドラマが描かれます。
 明るい余韻の話もあり、後味の悪い話もあり、その内容は様々。どのエピソードも男と女の関係で意識しないではいられない「肉体」の問題を描写し、同時にその肉体とは切り離せない「心」を抉り出します。
 巷間でも一つとして同じ物語は存在しないであろう肉と心の関係の物語、それを生々しく、時にテクニカルに描き出す手腕はやはり凄いな、と。

 個人的にはレズビアンの恋人達とその二人に関わった男の話「志乃ちゃんの、決心」のタイトルの可愛らしさにそぐわないにエグさと、トリッキーにびっくりさせられました。

セックスなんか興味ない

セックスなんか興味ない 1 (IKKI COMIX)セックスなんか興味ない 1 (IKKI COMIX)
(2009/12/26)
きづき あきら

商品詳細を見る

この悶々がたまらない――『加納家の事情』(上)(下)

 父親の再婚によって、浪人生の主人公に突然出来た3人の妹。その長女は電車の中で見かける気になるあのコだったのでありました――。

 長女は眼鏡の似合うクールでスマートな女の子。次女は巨乳で快活な子。三女は人見知り、でも慣れたら甘えん坊なロリっ子。
 それぞれタイプが異なる血の繋がらない妹達との同居、というベタな設定でありながら、えらくハートが揺さぶられてしまう作品なのですよこれは。

 互いに気になる存在だけど、兄妹だし……というお約束の葛藤がありつつ、好意の本音がときどきポロリとこぼれてしまって、舞い上がって、でもやっぱり兄妹だし……というこの悶々。
 そして、兄妹だから家の中で微妙にさらけ出されている無防備な姿がまたたまらなくて。しかし兄妹であるということがブレーキをかけて。
 歯磨きの音だけで興奮としてしまうとか、何だかすごく分かるなあ。

 直接的なエロス描写は全くないのに、このひたすら続く悶々とした感じがじりじりとエロスを高めてきて、そこにベストタイミングで入る長女の殺人的な可愛い言動。いやぁ……これは間違いなく墜とされます。

互いに憎からず想い合う関係でありながら、兄妹という枷に二人ともとらわれていて、終始やきもきさせられっぱなし。
 3人の妹がいても、主人公は基本的にブレずに長女に一途。ご都合主義的な「みんな好きだよ」な展開にはならないゆえに甘酸っぱさと恋愛の痛さも倍増であり、それが故の読後の爽やかさが。

 ベタな設定でありながら、これだけ読ませて、ドキドキさせられてしまうとは。いやこれはヤバい。何だかハートにスマッシュヒットしてしまいました。

加納家の事情

加納家の事情 上 (マンサンコミックス)加納家の事情 上 (マンサンコミックス)
(2009/12/25)
小石川 ふに

商品詳細を見る


遠くて近い「隣人たち」と紡ぐ恋愛――『恋愛遊星』

 異星人と交流を持つようになり共生が進んだ地球を舞台に、地球人と異星人との恋を描くSF系ラブストーリー集。

 生き方や姿形は地球人に近くても、地球人とは異なるシステムを生命の中に組み込んでいる異星人。
 初々しい恋愛を丁寧に描きながら、異星人のシステムをその恋愛の鍵(時にスパイス)として機能させているのが大変にお見事。爽やかな「等身大の恋の物語」でありつつも、物語世界の大きさを感じさせるような深い余韻を与えています。

 ちょっと変わったキャラクターたちが懸命に、そして丁寧に紡いでいく小さな恋の物語の数々。異星人のシステムを受け入れて、それが綺麗な恋愛に結晶化していくのが実に良いなあ、と。各エピソードが微妙に関連しあっているその塩梅もまた心憎いったらありゃしない。

 何だか抽象的な事ばかり書きましたが、大変に素敵な一冊です。

恋愛遊星

恋愛遊星 (MFコミックス アライブシリーズ)恋愛遊星 (MFコミックス アライブシリーズ)
(2009/12/22)
倉橋 ユウス

商品詳細を見る

委員長は権力者?――『全力委員長』1巻

 クラスの権力を手にして好き放題やってる委員長と、その彼女に翻弄されつつも生暖かく見守るクラスメイト達のスクールライフ4コマ漫画。

メガネと三つ編みは委員長の証!
しかし実は彼女は伊達メガネであり付け毛であり、それを取ると普通の女の子になってしまうのだった!
 人によってはガッカリかもしれませんが、バカバカしいネタで好きだなあ、と。
 或いはメガネと三つ編みこそが委員長の本質、ということなのかもしれん。

 委員長として君臨! といいつつも勢いだけで抜けてるところが多すぎる委員長がアホ可愛く、そこにツッコミを入れる副委員長との息のあった漫才が安定感のある笑いを提供。

 個性的な脇役もそれぞれのキャラを活かしたネタを発揮していて、バラエティに富んだネタが詰まっております。ネガティブ思考でブラックでヘビィなネタをポンと放ってくる小山田さんが個人的には大好き。

 ただ委員長&副委員長、小山田さん&マナちゃん、など絡むキャラのパターンが決まっていて、それ以外のキャラパターンで絡む率が非常に低いので、「全力委員長」編と「小山田さん」編といくつかの漫画が一冊の中に同居している、そんな感覚もあります。委員長と小山田さんの絡みとかももっと見てみたいなあ、と。

 ともあれ、強気で勢いがあるくせに抜けてる委員長が愉快な4コマ。委員長属性のある人も、そうでない人もいかがでしょう。

全力委員長

全力委員長(1) (バンブー・コミックス)全力委員長(1) (バンブー・コミックス)
(2009/12/17)
のしお

商品詳細を見る

寄る辺なき者たちの奇妙な共同生活――『ノラ猫の恋』1巻

 蒸発した父親を探しに青森までやってきた娘・ななの前に現れたびは、その父親の恋人だというオカマ・清。そこに父親の後輩を名乗る若者・澤が現れて――。
 三人を繋ぐ父親不在のまま始まった奇妙な共同生活を描くホームドラマ。

 女子高生と、オカマと、一見人当たりの良い青年。
 年齢も、性別も、社会的立場も異なる、面識さえ無かった3人の共同生活をつなぎ止めるのは、それぞれが持っているななの父親に会わなくてはならない理由。

 不信感を抱き、探り合いをしつつも、何となくうち解けていく様子がものすごく面白い。知らない土地の、父親不在の家が、他人だった3人居場所として少しずつと機能していく様が丁寧に描かれていて、その居場所はとても不安定でアンバランスなんだけれども、何だかいいなあ、と思ってしまいます。、

 そして、剣呑な対応をしながらもちゃんと優しい清さんが本当にいい女(男?)だなあ、と。ななを見守る眼差しがとてもいい。

 そんなちょっといい空間が出来上がりつつも、二人を呼び出した父親の手紙は一体何だったのか、清と父親との関係は一体何なのか、澤の本当の目的は何なのか、そもそも父親はどこに行ってしまったのか、様々な謎を孕んでいて、寄る辺なき三人の関係の行く末が気になります。

ノラ猫の恋

ノラ猫の恋 1巻 (BEAM COMIX)ノラ猫の恋 1巻 (BEAM COMIX)
(2009/12/16)
長野香子

商品詳細を見る

空を目指す少年、という王道の物語に真っ正面から挑む――『リンドバーグ』1巻

 『ガゴゼ』のアントンシク氏の新作は、大空と少年のファンタジー。
 窮屈で息苦しい世界、そこから飛び立とうとした父親、その父の背中を追う少年、とクラシックスタイルにして王道の物語に真っ正面から挑みます。
 その王道の物語の鍵となる「リンドバーグ」という飛竜(?)。ニットが連れたプラモもこのリンドバーグであり、複葉機と竜の合いの子のようなデザインがユニーク。
 そして怪人物シャーク。ニットを外の世界へ導く兄貴役のようであり、ヤバげな雰囲気を纏い悪人のようでもあり、とクセの強いこの男がニットとプラモをどこに導いていくのか。

 空を目指す少年の王道ファンタジーと述べたので、「明るく爽やかな物語」と思われるかもしれませんが、夜郎自大な権力者達、変化の無さがもたらす小さな平和にあきらめと満足をおぼえる人々の無力感と、舞台となる小王国の閉塞感はかなりのもの。
 加えて導き手となるシャークの得体の知れ無さもあって、物語の始まりはなかなかに重苦しかったり。
 それだけに、時折ニットが感じる空への希望や、実際に空に飛びたつ際の高揚感が一層引き立っております。

 この1巻は、例えるならば滑走路を走っている飛行機がやっと地面から浮いた、そんな感じ。
 これからニットとプラモが往く空は果たして青空か、はたまた嵐の空か。

リンドバーグ

リンドバーグ 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)リンドバーグ 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
(2009/12/12)
アントンシク

商品詳細を見る

愛と哀しみとお笑いの農業――『百姓貴族』

 『鋼の錬金術師』のルーツは北の大地にあり。
 ……というわけでもないですが、実家が北海道で農業を営む荒川弘氏の農家エッセイ漫画。

 クマとか牛とかイモとか北海道らしいエピソードをふんだんに盛り込みながら語られる北海道&農業への愛と大変な思い出。
 いやいやそんなまさか、でもまあ北海道の大地だしなあ、と思わされる時にハードで時にファニーなエピソードの数々にくすりとさせられます。
 過酷な体験が明るく勢いのあるギャグと化して大変にパワフル。ああ、農業って大変だなあ。

 しかしまあ、イモにしろメロンにしろ牛乳にしろ肉にしろ、農業に携わる者が享受できる暴力的なまでに健康なこの食糧事情は、スーパーで行儀良くパック詰めされたモノを食っている我々には羨ましくもあり、何か凄すぎて笑っちゃったり。まさに「百姓貴族」というに相応しい豊かさであります。その語感のファニーさも含めて。
 でも、本来そういうものですよね食い物を作るってことは。
百姓貴族

百姓貴族 (ウィングス・コミックス・デラックス) (WINGS COMICS)百姓貴族 (ウィングス・コミックス・デラックス) (WINGS COMICS)
(2009/12/11)
荒川 弘

商品詳細を見る

姉弟+兄妹=家族。『このこここのこ』1巻

 親同士の再婚によって兄弟姉妹となることになった二組5人の男女。
 いきなり両親が不在となってしまった中で、心根の真っ直ぐな高校生・遥斗と、彼と同い年で姉となった千紘の二人を軸に、少しずつ「家族」としての絆を深めつつ、気になる関係になっちゃったりする様を描きます。

 外面は人当たりの良い優等生、しかし中身は――な食わせ者の千紘。複雑な家庭環境の中で育った彼女の自衛策として生まれたその猫かぶりとニヒルな考え方は遥斗を面食らわせますが、それでも「僕たちは家族だ」と言い切る彼の姿勢が徐々に千紘を変えていく、という。

 主役の二人の他に、一番大人なのに明け透けでバカな兄貴、クールに肝の据わった母親役を担う大学生の姉、人見知りが強すぎる妹などなど。ちぐはぐな彼等が、しかし「家族だから」とまとまっていく姿は、分かっていてもどこかジンと痺れます。

 家族モノとしては目新しい筋ではないかもしれませんが、それぞれにインパクトがあってキャラ立ちしてる兄弟姉妹、そして心の動きを濃やかに描写しつつ「家族」というテーマをしっかり描いていて、ああ、これはいいなあ、と感心しきり。「突然同い年の女の子と一つ屋根の下で!?」的なラブコメ要素も織り交ぜつつ。

 しかしまあ、優等生の仮面をかぶり、ニヒルな態度で心を鎧いつつも、格ゲーではしゃいじゃったり、妹の病気に取り乱したり、根は寂しがり屋で年相応な女の子、という千紘は実に実に良いキャラクターですわね。
 そんな彼女に正面から向き合って、言動にブレがない芯の強さを持っている遥斗がまた男前で素敵。

 しかし、こんな子供達を複雑な環境に放って置いて行ってしまう両親のキャラ設定はもうちぃと何とかならんかったんか、という気がしないでも。1話の親戚のオバサンの意見が的を射ていてツラいよ!

 というわけで、個人的にこの先もすごく期待しております。楽しみ!

このこここのこ

このこここのこ 1 (IDコミックス REXコミックス)このこここのこ 1 (IDコミックス REXコミックス)
(2009/12/09)
藤 こよみ

商品詳細を見る

風邪ひいてました

ここしばらく風邪をひいてダウンしておりました。
大したことないかなー、と思っていたら40度近い熱が出て死ぬかと思いました。
でも医者に診て貰ったらインフルエンザでは無いらしく
抗生物質を飲んでひたすら寝ておりましたとさ。

しかしまあ、ひとり暮らしで病むと非常にツラいものがありますわね。
咳をしても一人。

とりあえず、幾分溜まっている新刊の中から
ぼちぼち感想を書いて参りますんで。

若さ、若さって何だ――『熱病加速装置』

 若さとは何であるか。即ち迷いである、と。
 いや、まあ、歳を食っても迷いっぱなしですけれども。

 本書はそんな若さゆえの迷いが詰まった1冊、ではないかなと。

 結婚を間近に控えた義姉と、彼女の居る義弟。暖かな家庭の中なのに、互いに微かな情欲を抱く二人の関係を描いた「てんねんかじつ」

 憧れの先生に巻いてもらった包帯。初めての恋のようなものが心に芽生えた少年が、その包帯を介して知った現実を描いた「包帯」

 ちょっと饐えた、でもありがちな家庭環境にある内気な少年。彼が出会った少女への思いと、彼の世界の閉塞感への抵抗を描いた「熱病加速装置」。

 どれも若さと、それに直結する性のもやもやから、まだまだ小さな世界の中で迷い悩む少年達の姿が描かれています。その世界は未だ小さいだけに悩みはたやすく充満して彼等を苦しめますが、その悩みを経験することで少し世界が大きくなる、という。

 どんよりと雲の立ちこめた湿度の高い夏の日、しかし、雨の後は雲の切れ間に眩しさを感じる、そんな感じがする一冊でありました。

熱病加速装置熱病加速装置
(2009/11/30)
元町 夏央

商品詳細を見る

twitter
最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
プロフィール

Author:棘叢庵主人
棘叢庵主人凡鳥でございます。
日々読んだ漫画の感想などを綴っていきます。

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。