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女子高生双子、虚実のあわいなる異界を探訪す。『さえもえな日常』

 紗英と萠は、巫女の属性を有する双子の姉妹。
 彼女達が夢と現実のあわいで迷い込む不思議な世界で奇妙な事件が続発、それはもはや日常か!?

 双子らが足を踏み入れる不思議な世界は、神社をベースに日本的な異界の空気を持ちながらも、路面電車が爆走したり、巨大な招き猫が建っていたり、多脚戦車が登場したりと、幻想的でありながらもなかなかにカオス。
 そこで起こる事件は、無くなった母やご先祖様との再会、ネコの文化とスパイをめぐるドタバタ、神様同士の縁に巻き込まれたり。
 現実なのか夢なのか判然としない世界で、クラスメイトを巻き込みながら、エピソードは時にしっとりと、時にスラップスティックに展開。そして虚と実のあわいがまた微妙にあやふやなまま日常へと回帰していきます。
 カオスななんでもあり感と、ファンタジーの心地よさが同居したなんとも不思議なこの空気。おもわずため息が出てしまうくらいに魅力的。女の子達も大変に可愛らしい。フェティッシュな魅力があります。

 巻数表記はないけれども、「リュウ」への掲載は続くっぽいので是非次巻を出していただきたい。というか、次巻切望。出ないと悲しい。
 夢乃氏の画柄とか、この作品の空気とかものすごく好きなのです。

さえもえな日常 (リュウコミックス)さえもえな日常 (リュウコミックス)
(2010/07/13)
夢乃 むえ

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すこしふしぎでとってもユニーク。『第七女子会彷徨』2巻

 相変わらず「すこし・ふしぎ」の遺伝子をたっぷり受け継いだユニークな世界が素晴らしい。その世界での変な道具や出来事に対する金やんと高木さんたちの反応が愉快でこれまた素敵。

 死後、データ化された天国に行った友達と学校で普通に交流できるちょっと未来のちょっと奇妙な世界。
 そんな、パラダイムシフトが起きていそうな技術や道具がぽこぽこと存在している世界で、でも高木さんと金やんは、それによって起る奇妙奇天烈な出来事を時に楽しみ、時に吃驚しながらも、「日常」としてのほほんと過ごしていく。このさじ加減の絶妙なセンスに痺れます。

 二人で出かけるだけの「ぷらぷら」みたいな軽い話(頭からジュースが出るおじさん姿の自販機「お父さん自販機」がバカバカしくてステキ)や、ウサギ人間たちに頭の中身を覗かれる軽くホラーっぽい「高木さん劇場」、コールドスリープから目覚めた同級生とのちょっと切ない再会「初恋解凍」などなど、語り口も自由自在のこの器用さ。すごいなあ。

 1巻は個人的に2009年のベストだったこの作品。2巻もやっぱり冴えております。
 読まなきゃ損です、この作品。断言しちゃうよ。

第七女子会彷徨 2 (リュウコミックス)第七女子会彷徨 2 (リュウコミックス)
(2010/04/13)
つばな

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命の根源に繋がる水を掬った短編集『世界の合言葉は水』

 「コミックリュウ」龍神賞は、好きな作風の作家さんが次々と出してくるなあ――。

 というわけで、この単行本も龍神賞作家・安堂氏の初単行本。「リュウ」に掲載された短編9作を収録。

 キーワードは水、というか、生命の根源を水や海といったエレメント:水に託し、するりと物語に染みこませてあります。
 それぞれの話、ポコリ、と起きる不思議な現象は、不思議なんだけれども、何だか当たり前な顔をしていて、開かれた明るい感じでとてもフラット。でも、その現象はどれも生命の根底に結びついていて、小さいスケールの物語なのにとんでもなく深いところに繋がっている、というか。
 うーん、言葉で説明するのは難しいのですが、不思議な空気と魅力を湛えた物語群であります。

 個人的には、こういう感覚ってすごいな! と感心し、そういう繋がりになるか、と唸った「ぎゅう」、海の中の家、そこから経験する天気が不思議で豊かな「海の天気」、不思議な現象とそれに魅せられた男女を描いた「エンガイ」なんかが特に好きです。

世界の合言葉は水

世界の合言葉は水―安堂維子里作品集 (リュウコミックス)世界の合言葉は水―安堂維子里作品集 (リュウコミックス)
(2010/03/15)
安堂 維子里(あんどういこり)

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テーマ : オススメ漫画
ジャンル : 本・雑誌

おもろうてやがてじんわりとくる父と娘の関係――『響子と父さん』

 長女の響子さんはイラストレーター。
 お互いに気に掛けているけれど、素直に気遣うにはちょっと照れくさい家族の絆を描きます。

 もう、このお父さんの行動がいちいち素晴らしい。
 面白い、というのは勿論ですが、ある程度歳の行った我々の父親の実際のソレを考えてみても「ああ、父親ってこんな感じ確かにあるよなあ」という納得感がものすごい。

 父親がどんなにトホホな行動をして、そのことに怒ったり呆れたりしてしまったとしても、それはそれまで積み重ねた人生の時間の中でそうなっちゃっているものなので今更どうにもなるものでもなし、世話になってきたことだし、何より自分の父親だし、何だか年取ってきちゃってるしで「まったくもう、この人はしょうがねーなー」と苦笑するしかない、という感覚。

 微妙に時代についていけてない、ちょっと抜けた自分勝手な理屈で行動してトホホな結果を招く、そんな「しょうがねーなー」感溢れる父さんが実にキュートであります。こんなにも等身大で魅力的な「父さん」を描けるって素晴らしい。

 それを口うるさく注意する響子さんとのやりとりがまた可笑しくて、でも心がじんわりとするものがあります。
 娘を思う父の気持ち、父を思う娘の気持ちを、笑いにくるみつつも、素朴な描写からしっかりと「家族愛」として紡ぎ出していて、心の底から巧いなあ、と感嘆しきり。

 行方不明になっている「妹」に関する話も、父さんの不器用っぷりが遺憾なく発揮されていて素晴らしい。
 こちらのエピソードが『ネムルバカ』とも関連していてこういうところもまた心憎い。

 ああ、何だか読んでいてほくほくと嬉しくなってしまう作品であることだなあ。

響子と父さん

響子と父さん (リュウコミックス)響子と父さん (リュウコミックス)
(2010/03/13)
石黒 正数

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テーマ : オススメ漫画
ジャンル : 本・雑誌

激闘に次ぐ激闘、その裏で蠢く策謀――『ロボット残党兵』3巻

 激闘続くタラワ環礁。一進一退の攻防の中、暗躍する情報部や東機関。投下される狂戦士ハリマオ、そして三船が蔵する秘密とは――

 いやはや、この3巻も素晴らしく面白い。無骨な機械化人たちの泥と機械油にまみれた激烈な戦闘。その背後に見え隠れする策謀。そしてイカれたキャラクター達。
 ストーリー的に大きな展開はありませんが,
インパクト溢れるキャラ達と戦闘描写で興味を繋ぎつつこの後の怒濤の展開を前にした溜めは着々とされております。ああ、この戦闘の果てになにが待っているか、楽しみであることだなあ。

ロボット残党兵 3―妄想戦記 (リュウコミックス)ロボット残党兵 3―妄想戦記 (リュウコミックス)
(2010/01/13)
横尾 公敏

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テーマ : オススメ漫画
ジャンル : 本・雑誌

ドリトル先生とハイド氏――『解剖医ハンター』

18世紀後半のロンドンを舞台に、『ドリトル先生』、『ジキル博士とハイド氏』のモデルになったとされる人物ジョン・ハンターの活躍を描く医学モノ。

 『ドリトル先生』と『ジキル博士とハイド氏』、方向性が正反対の作品のモデルが同一人物というだけで興味深い。

臨床や実学とはかけはなれた古典の権威と教養のみに甘んじている当時の医学の常識を踏みにじり、墓を暴き、死体を切り刻み、「屍食鬼」の名を与えられるハンター。
 
その行動動機は「人の命を救いたい」的な人道的なものではなく、人体の謎を解き明かしたいという好奇心・探求心に突き動かされてのもの。

教会のお題目やお高くとまった医師会に対峙して、芯の通った好奇心に則って獰猛なまでの行動力を示すハンター。その姿はアンチヒーロー的であり、魅力たっぷりの怪(快)人物として描かれ、ジェンナーやクック船長など、これまた実在の人物をエピソードのパートナーに配して語られる物語は骨太で、良い具合にケレン味が強くて、力強い画と描写と相俟って実に読ませます。

「リュウ」でも12月売から連載が再開されるようで非常に楽しみな作品。

解剖医ハンター 1 (リュウコミックス)解剖医ハンター 1 (リュウコミックス)
(2009/11/13)
吉川 良太郎黒釜 ナオ

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Author:棘叢庵主人
棘叢庵主人凡鳥でございます。
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