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歳の差カップル、オトナなのはどっち? 『GAME OVER』

 白泉社『楽園 Le Paradis』とWeb増刊に掲載された原稿を集めた作品集。

 表題作は、バスの中で出会ったOLと中学生の恋愛物語。
 わざと男性の隣の席に座って、こちらを2度見させたら勝ち、という密かなゲームを続けていたOLさん。
 連戦連勝の彼女が、ある日中学生男子の隣に座ったところ、その彼は全く気にするそぶりも見せず――
 そんな形で始まった二人の出逢い。そこから長い交際を経て結婚に至るまでを描きます。

 出逢いの時点でOLと中学生。かなりの歳の差カップルですが、クールに彼女をあしらう彼氏と、そんな彼にときめいてしまう彼女と、実年齢とは逆な人の関係。
 ――と思いきや、彼氏の方はクールを装いながら、内心では年上の彼女に対する背伸びをしていたり。
 彼女の方も翻弄されてばかりに見えながら、ほの見えた彼氏のそういう背伸びの部分に時にオトナの余裕で対応したり。自分のことを「美人OL」とか言っちゃえる結構イイ性格している彼女さんだけに、そこの切り返しがまたニヤリとさせられます。

 一見、年下の彼氏が主導権を握っている関係に思えますが、それぞれの「オトナ」と「コドモ」の部分が時々逆転する瞬間のやりとりが面白くもあり、恋が揺れ動くときめきの瞬間でもあり。そこをめぐる駆け引き、読んでいるともうニヤニヤしっぱなしです。

 オトナな彼女に追いつきたい彼氏と、オバサンだから……という彼女。お互いにその歳の差をコンプレックスとして感じていながら、5年という長い時間を掛けてそれを埋めてゴールインした二人。もう、二人の前途に幸あれ、この素敵な恋愛物語に拍手!

 この表題作の他に収録された「誘拐のススメ」「けだまのケーキ」「きのう けんかをしました」も微笑ましく、あったかな恋愛が描かれていて、こっちも読んでて思わずにやけちゃいます。

GAME OVERGAME OVER
(2010/07/31)
水谷 フーカ

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両手に花、しかしそこには大変な棘と毒が! 『ハルとナツ』2巻

 憧れの女の子に告白したものの手酷く振られた主人公。しかし、憧れの女の子は双子で、彼を振ったのは姉の方だったのだ!
 主人公にぞっこんなのだけれども、独占欲が強い妹と、妹の「大切なもの」として主人公を奪うために積極的すぎるアタックをかける姉。二人に挟まれて嬉しくも、厳しい状況に追い込まれる主人公の役得と受難の日々を描くラブコメ。「ヤングアニマルあいらんど」連載。

 美人双子を両手に花、過激な姉のアタックに対抗するため、大人しいはずの妹も――とうれしはずかしな状況なのですが、妹の独占欲が強すぎてヤンデレ化してしまっていることで、そのシチュエーションに緊張感が走りまくり。お色気展開でありつつも、一瞬でサスペンスモードになってしまうという油断のならなさ。
 双子ゆえの、姉なの? 妹なの? というお約束の取り違え展開、抜群にかわいい女の子が惜しげもなくサービスシーンを繰り出しながらも、今風の「ヤンデレ」属性によって、単なるステレオタイプのお色気コメディに終わらせないシチュエーションの展開。

 姉の明るく大胆なお色気と、妹の羞恥心たっぷりのお色気、それぞれの色を出して魅せてくれるサービスシーンがバカバカしくも大変に嬉しい作品であります。

ハルとナツ

ハルとナツ 1 (ジェッツコミックス)ハルとナツ 1 (ジェッツコミックス)
(2010/03/29)
武田 すん

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テーマ : オススメ漫画
ジャンル : 本・雑誌

点子、頭を良くしてあげよう――『薔薇だって書けるよ』

 白泉社「楽園」(web増刊含む)掲載作品を中心に同人誌発表作品「晴田の犯行」、書下ろし作品1編を加えた著者初単行本。

 これがデビュー単行本か! と唸ってしまうほどに巧い。収録された短編はどれも素敵なのですが、表題作が抜群に素晴らしい。

 天真爛漫、奔放不羈の魂を持つ少女・点子と結婚した男。幸せで甘い新婚の日々、しかしあまりに浮世離れした点子に男は次第に引け目を感じるようになり、やがて彼女は悪気のないまま、とある間違いを犯し――

 点子のその笑顔は俗世と切り離された天界の住人のそれであり、彼女が求める「幸せ」は現実の細々としたルールにはとらわれない。
 例えば、『智恵子抄』。例えば、安吾の『白痴』。――点子の美しさは、そんな白痴美とも言うべき現実に毒されることのない真っ白な美しさ。二人きりの世界でそれは無上の美ではあっても、ひとたびそれが現実と接点を持てばたちまち地に落ちて泥に塗れる危ういものでもあり。
 一読したとき、これは筋少の『香菜、頭を良くしてあげよう』であろうか、とも思いました。愛する白痴少女に色々と物事を教えて、全てが終わる日の後も少女が生きていけるように――という歌。
 「頭を良くしてあげよう」という一見すると上から目線の物云いだけれども、実は、その少女と関わることで本当に救われるのは、生きていけるようになるのは少女の方ではなく、男の方ではあるまいか――そんな歌。
 でも、物語はその印象を軽々と超えて軽やかな着地を魅せてくれたのでありました。

「薔薇だって書けるよ」で、あまりに浮き世離れしすぎている点子を人前に出すのを憚る気持ちに囚われる男が、彼女を「一般的な女性」にしようと教育しようとするが、点子の魂はそれに縛られることは無く、二人の甘やかで幸せだった時間はやがて一度は崩壊します。
 しかし、そこから彼女の魂を損なう事無く、彼女の天使の笑顔を保ったままに再び愛情を回復していく様が、変に重くなく、明るく、また男の純情が可愛らしくもあり、大変に良かった、素晴らしかった、と。

 表題作の事ばかり述べてしまいましたが、収められた短編はどれもきらきらした輝きに満ちた素敵なものばかり。興味を持った方、是非ご一読を。損をしない保証をいたしますよ。

薔薇だって書けるよ

薔薇だって書けるよ―売野機子作品集薔薇だって書けるよ―売野機子作品集
(2010/03/26)
売野 機子

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