スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

異世界の隣人はいい人? 悪い人? 『セカイのミカタ』1巻

 異界との扉が至る所で開く町・万住町。
異世界人とのトラブルに対処する異界管理局、通称「イカイカ」。
 「異界に消えた兄を探す」という目的でそこに勤務し始めた新人職員・カイチと、彼と組むことになった、異界人にしてイカイカ副長のウブメ。
 青い新人と苦い過去を持ったベテランのコンビ奮闘記。

 二人が当たるのは、価値観や命の形が異なる世界が繋がってしまうことで生まれた行き違いから発展してしまった事件。

「この世に正義なんかどこにもない」「扉の数だけ正義は存在する」「僕らは正義の味方なんかじゃない 世界の味方なんだ」

 というウブメの言葉が、イカイカの在り方を良く示しています。相手を理解することが絶対の仕事なのですね。時にそれが全く異質な、相容れない存在だという結果になったとしても――。
 そんな中で見せるカイチ君の愚直さと成長が眩しく、ウブメの苦みを伴った言動は時にずしりと来ます。

 小さな(でも印象的な)事件の解決を積み重ねていく中で、カイチの兄・キイチの存在、ウブメが過去に失ったもの、といったそれぞれが抱えるトラウマと大切なもの、謎の女や「ワラビ」の存在といった謎、それらが徐々に繋がりながら物語世界が徐々に厚みを増して行く様は読み応えあり。

 互いに反目しながらも息のあったコンビニなりつつあるカイチとウブメ。彼らの小気味いい掛け合いを味わいながら、絡み合った伏線がどうなっていくのかが非常に楽しみであります。

セカイのミカタ 1巻 (ヤングキングコミックス)セカイのミカタ 1巻 (ヤングキングコミックス)
(2010/10/30)
鈴木 小波

商品詳細を見る
スポンサーサイト

人を想うの気持ち、そのかけがえのなさ。『sunny』

 兄夫婦の忘れ形見となった姪と、彼女の高校卒業までの3ヶ月間を同居することになった主人公。
 それまで家に出入していた姪の友人二人も一緒に住むことになり、女子高生3人と大人一人の同居生活の、始まり。

 と、設定だけを書くと何だか嬉し恥ずかしハーレム物のような印象もありますが、さにあらず。

 義姉に想いを寄せていた主人公のハル。
 母親の主人公に対する気持ちを知っていた姪・あきら。
 彼女持ちの男を好きになってしまった友人・絹子。
 憧れの兄の面影を主人公に重ねて見る友人・郁。
 そして残されたあきらの母・ハルの義姉の日記。

 失われてしまった家族が住んでいた家で、その絆を追うように語られていく4人それぞれの思い。

 ちょっと複雑な関係に気持ちが描かれますが、そこにドロドロとした感じは殆どありません。
 人が人を想う気持ちというのは何なのか。結果だけではない、気持ちそのものの大切さが紡がれていきます。

 「好き」の気持ちが持つ優しさ、そんなものを強く感じる作品でありました。

sunny (ヤングキングコミックス)sunny (ヤングキングコミックス)
(2010/10/25)
今村 陽子

商品詳細を見る

私のドリフター 地獄へ堕ちてゆく 『ドリフターズ』1巻

 天下分け目の関ヶ原、島津豊久を主人公に据え「島津退き口」、捨てがまりから物語が始まる――

 これだけでも掴みはもう十二分、クライマックス! という感じではありますが、そこから物語は大転換、舞台は異世界へ。あらゆる国・時代から集った偉人たちが「漂流者」と「廃棄物」に分かれた戦乱の最中に放り込まれる、という。

 下手をすれば「ぼくのかんがえたすごいせんそう」になってしまいかねない設定、しかし、これを激しく「アリ」にしてしまう、ケレン味たっぷりの平野氏の筆。信長・那須与一らと協力しエルフを糾合して国盗りを開始する豊久。仲良くケンカするハンニバルとスキピオ(そしてここぞという場面でハンニバルに絶対の敬意を表するスキピオ!)乱戦の中、空を破って登場する菅野直の紫電改。
 廃棄物の側には炎で全てを焼き尽くすジャンヌ・ダルク、全てを凍てつかせるアナスタシア、隊士の霊(?)を引き連れる土方歳三。そこに吹き荒れる死の嵐。
 誰もが名前とその活躍を知っているような人物がファンタジーの世界で、激突、或いは協力して戦っていく!
 とにかく、全てが、読者の「男の子」のハートをビリビリと震わせる力に満ちております。


 国盗りの行方は、これから一体どんな人物が登場してくるのか、そしてその人物はどういう風に描かれるのか。続きが気になること夥しい、実にエンターテイメントな作品であります。

ドリフターズ 1巻 (ヤングキングコミックス)ドリフターズ 1巻 (ヤングキングコミックス)
(2010/07/07)
平野 耕太

商品詳細を見る

最強の料理漫画、ここに竣工! 『ドカコック ドカうまっ!! 満腹編』

 全国の現場を渡り歩き、そこで働く男達に、作ったメシで力と希望を取り戻させる伝説の流れドカがいるという。その男は京橋建策、またの名をドカコック!

 ジャンル分けをするなら料理漫画という事になるのでしょうが、とにかくその力強さとバカバカしさは無類。
 ドカコックの料理がうちひしがれている男達に夢や希望、力を取り戻す、という非常に料理漫画的な筋ではあるのですが――。

 まず土方のコック、という設定からしておかしい。
 料理の工程を工事のそれに模し、料理の完成を「竣工!」と言い放つユニークすぎる着想。
 「ドカドリーム」「ドカモーション」「ドカプロミス」など、バカバカしくも有無を言わせぬ説得力に満ちた言語センス。そして力強く優しい、まさに「侠」なドカコックの生き方。
 あまりにも雄々しいドカコックの料理作法と、それに引き込まれる観衆のノリの良さ――というかグルーヴ感。

 全編ツッコミどころ満載の、あまりにも強引な展開、しかし、それを激しく「あり」にしてしまう力強くテンポの良い演出に力技でグイグイ押し切られてしまいます。

 「ドカですから……」

 の一言の前に、全ての読者は黙して頷く以外に無いという。だって、ドカだもの。

 そして、ドカコック誕生秘話が語られる渡辺保裕氏へのインタビューも爆笑&必見。17回のボツの末にこの大傑作が生み出されたかと思うと実に感慨深い――!

 連載再開を強く希望。この廉価版だけで終わってしまうには惜しすぎる一作。溢れるB級臭さと、それを自覚してノリノリでやっている感覚が面白くて仕方ない。ものすごい脂の乗った作品。読まないと後悔する、と敢えて言ってしまいましょう。

ドカコック ドカうまっ!!満腹編ドカコック ドカうまっ!!満腹編
(2010/05/24)
渡辺 保裕

商品詳細を見る

たかみち氏が切り取る「少女」という時間――『ゆるゆる』

 たかみち氏初の漫画単行本、しかもフルカラーとあれば、そりゃァもう買うしかないじゃないか。
的な贅沢な一冊。


 3人の少女の何でもない日常の一幕。しかし、そのなんでもなさが素朴できらきらしい「少女」という時間であり、それを鮮明に切り取ってみせるたかみち氏の筆。さすが
「LO」の表紙を描いている人は違うな……と感心してしまう程に、一つのイデアとしての少女の形をそこに写し取っております。

 いやまあ、あんまりそういうことを考えずとも、素朴で、楽しく愛らしい少女達の、タイトル通りゆるゆるとした日常は何とも微笑ましい。それをこれだけ美しい色彩と達者な筆で描かれると、眺めているだけで何だか幸せになってしまうのです。

 ああ、空の青、海の青と共にある少女たちのなんでもない青春の日々。いいなあ。

ゆるゆる (ヤングキングコミックス)ゆるゆる (ヤングキングコミックス)
(2010/04/19)
たかみち

商品詳細を見る

日常の小さな積み重ねのしあわせ――『日々是…』

 同棲を始めたカップルのラブラブな日常を描いた作品。
 いやもう、読んでてこれほど顔がニヤけてしまう漫画というのもなかなかありますまい。
 描かれるのは何でもない日常の一幕。しかし、幸せと愛情で充ち満ちた二人のラブラブっぷりといちゃいちゃっぷりたるや!
 慣れない同棲生活の中、段々と二人の空間を作って行く行為。
感動屋のたまきさんと、ちょいと気弱な感もあるコーゾーくん。些細な、しかし大切な思い出を積み重ねていく様が実に実に丁寧に描かれております。二人一緒に一緒に生活している、ということを確認していく行為が実にくすぐったくて、あったかい。

 そして、日常のふとした瞬間にエロスイッチが入って行為に及ぶ二人、その気持ちの流れの自然さが何だかがもう大変にエロちっくです。 ハードな描写ではなくても、何と申しましょう、こう、ハートで感じるエロさがあります。
 いやもうごちそうさま。お幸せにね! ってヤツですよ。

日々是…

日々是… (ヤングコミックコミックス)日々是… (ヤングコミックコミックス)
(2010/02/22)
かがみ ふみを

商品詳細を見る

テーマ : オススメ漫画
ジャンル : 本・雑誌

鮮烈な音楽との再会が導く「自分の音」探し――『天にひびき』1巻

 オーケストラと不協和音を奏でる指揮者である父に代って、天才的な指揮をして見せた少女・ひびき。少年時代にその鮮烈な音楽に触れた主人公・秋央だが、時は流れ音大で不完全燃焼な日々を送っていた。そんな中で、ひびきと再会を果たすことに――

 やまむら氏の新作はオーケストラを題材に採った青春物語。
「人を魅了する音楽」というものを演奏者や聞き手の表情から描き出すのが圧巻。
 特に序章の、年端も行かないひびきの指揮によって、プロのオーケストラの心を掴んで否応なく引っ張られ、最高の演奏に至る様子がすごい。余裕、戸惑い、緊張、理解、恍惚と演奏者達の心の動きと、それに連れて音楽が刻々と変化していく様子、それらを動かすひびきの活き活きとした表情。主人公が衝撃の出会いだったと語るに十二分な説得力を持って、ひびきの音楽が読者の前に提示されます。

 自らの才能に悩む若者が天才との出会いによって変化していく、という物語の中で「才能」の役割を振られているひびき。彼女の天真爛漫な明るいキャラが、くすぶる秋央との対比の前でも前向きに物語りを引っ張ってくれて、「自分の音」を奏でるために才能と苦闘する物語でありながら明るくて爽快感があるのもまたポイント。
 1巻ではまだ顔見せ程度の脇役達がこの後どう絡んでくるか、今後の青春劇に大期待。

天にひびき

天にひびき 1巻 (ヤングキングコミックス)天にひびき 1巻 (ヤングキングコミックス)
(2009/12/28)
やまむら はじめ

商品詳細を見る
twitter
最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
プロフィール

Author:棘叢庵主人
棘叢庵主人凡鳥でございます。
日々読んだ漫画の感想などを綴っていきます。

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。